SAT 真の患者利益のため予防歯科を中心にした歯科医療へ

SATについて


2011年 新年のごあいさつ

日吉歯科診療所 熊谷 崇

新年あけましておめでとうございます。

本年も大きな決意のもと、皆様新しい年を迎えられた事と思います。旧年中はオーラルフィジシャンコースの活動をサポートいただきありがとうございました。「口腔の健康を生涯にわたり維持する」という価値の一般市民への広がりとともに、オーラルフィジシャンコースは昨年も活動的な一年を過ごすことができました。

「オーラルフィジシャン育成セミナー」に計4期40歯科診療所から110名、「若い歯科医師のためのオーラルフィジシャン育成セミナー」に計2期120名が参加されました。またオーラルフィジシャン診療所のネットワークの場としての「オーラルフィジシャンチームミーティング」には80歯科診療所から、定員を上回る550名が参加されました。

日吉歯科診療所 セミナーのご案内

また「オーラルフィジシャン育成セミナー」において、メディカルトリートメントモデル(MTM)の実践に必要な哲学および手法を学ばれた医院を対象に、Advancedコースとして、MTMを医院で実際に構築する際のサポートを行なうMTM構築セミナー、日吉歯科で実際にDHがどのような役割を担っているかを見学していただくDH見学セミナー(計5期50名)、国内外の一流の専門医による歯周病、充填、歯内療法のセミナーも実施されました。

米国歯周病学会元会長であるMichael McGuire先生との新たなプロジェクトPerio Health Institute Japan(PHIJ)では、25名の歯科医師が、米国ヒューストンのMcGuire先生のオフィスおよびオマハのクレイトン大学においてアドバンスの歯周病学、再生療法およびインプラント学を学びました。特にクレイトン大学では、解剖実習を行なうことで、インプラントを含めた外科処置時に必要となる解剖の知識について理解を深めることができました。

PHIJ海外研修活動報告

このコースでインプラント実践のための基礎を学ばれた歯科医師を対象に米国歯周病専門医である中山吉成先生がインプラント埋入に立ち会う出張セミナーも実施しています。

中山吉成先生『歯周外科およびインプラントオペ実践セミナー』

真の患者利益となる医療を提供するためには、歯科医療のいわばベースとなる哲学、システムの上に、根拠に裏打ちされた適切な技術を学び積み上げていくことが重要です。自身の臨床を見直し、不得手の分野があれば、先延ばしせずに期限を決めて学び、そして予後を含めて評価をする。ライセンスを維持する最低の条件として我々は学び続けねばなりません。

日本の歯科医療を客観的に見直す場と我々が位置づけ、例年実施している海外研修は6月にスウェーデンのマルメ大学研修を予定していますが、こちらは昨年中に満席となってしまいました。

2011年 スウェーデン・マルメ研修

今後の海外研修としては2012年のPHIJコースおよびドイツにて発症前の診断と対応に重きをおいた臨床を行なっているIHCFメンバーとのプレゼンテーションを通じた交流および相互訪問を予定しています。いずれも事務局からのメールおよびHP上での詳細の発表をお待ちください。

チームミーティングは本年の開催から、より収容能力の高い酒田市の希望ホールでの開催を予定しております。例年同様、7月2日、3日の2日間に渡り会を催し、初日の午前中は聖路加病院理事長の福井次矢先生に、午後はUCLA歯学部のHenry Takei先生にご講演いただきます。2日目の午前はオーラルフィジシャン育成セミナーを修了された先生方にその取り組みを発表していただき、午後は鶴見大学の花田信弘先生らをお招きして、「口腔と全身の健康」に関する市民公開フォーラムを予定しております。2011年早々に詳細の発表と募集を行なう予定です。事務局からのメールおよびHP上での詳細の発表をお待ちください。

昨年は新しい取り組みも始まりました。齲蝕および歯周病のリスク評価を、これまでの医療提供者から患者へ伝えるという一方向的な枠組みだけではなく、患者および一般市民から医療提供者側に実施を要求することを支援するNPO法人「最先端の虫歯・歯周病予防を要求する会」が設立されました。世界的視野で見ても、米国において唾液検査を用いたカリエスリスク評価がようやく脚光を浴びてきています。ADAは唾液検査を含めたリスク評価を推奨し、現在では全ての大学で、学生に教育しなければいけない項目の1つに加わっています。また、補綴専門医においては術前診査の際、唾液検査が必須項目となっています。NPO法人の理事には私も名を連ねていますが、この会の主役はあくまでも健康観の高い市民であると考えています。

最先端の虫歯・歯周病予防を要求する会

本年からは、昨年実施されたAdvancedコースに加え、補綴専門医による補綴セミナー(咬合、補綴治療の基本、インプラントの上部構造等)を日吉歯科診療所にて実施する予定です。

最後に私事ですが、お伝えするべき事がございます。来年に私は70歳を迎えますが、その前に本年9月をもって大学およびオーラルフィジシャンセミナー以外での対外的な講演活動を引退することといたしました。今後は酒田のみでの活動に絞り、微力ながら陰から歯科界を支えていこうと考えています。今年も皆様のご活躍とご健勝を心よりお祈りいたしております。