SAT 真の患者利益のため予防歯科を中心にした歯科医療へ

SATについて


2015年 新年のごあいさつ

SAT事務局 伊藤 日出男


昨年はオーラルフィジシャン・チームを牽引してきた熊谷崇先生が、NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』に取り上げられ、皆様方の取り組みの励みになった年になったことと思います。番組では、熊谷崇先生という源流の確かさを評価していた反面、源流が川となって歯科医院全般に、さらに生活者にまで届くことへの困難さも報じていました。このことは、日々現場でオーラルフィジシャン歯科医師の方々も感じられていることと思います。オーラルフィジシャン歯科医師の抱える理想と現実の壁を越えるために、熊谷先生、チョコレート歯科 加藤先生の尽力により昨年OP倶楽部が発足し、外部から見た歯科の評価、取り組みの在り方を各界の有識者から学べる場として、本年から本格的な活動が展開されていきます。


歯科医師でない私から見ると、メインテナンス・スタンダードの流れを生活者まで届けるには、医療的エビデンスをベースにした上での医療者の経営やサービスのセンスが問われる時期になったと思います。現在の日本の歯科はメインテナンスに限らず、高度成長期から現在に至る「水」の在り方に似ています。


高度成長期には、暑い日には生ぬるい水道水を冷やして出すことがセンスの良さでした。高度成長期の水の価値に歯科を落とし込むと、水道水をそのまま出すことが保険診療で、冷やして出すことが自由診療に当たります。つまり高度成長期は、水自体に価値があり「質より量」という時代の中で、冷やす程度が提供側のセンスと評価されていました。現在の大半の歯科のメインテナンスは、高度成長期の冷やした水道水程度で、冷やしていなければ単なる水道水、品質は問われていないように思います。しかし現在の水は含有ミネラル成分など品質が問われ、「量より質」に価値が置かれています。オーラルフィジシャン歯科医師の出そうとする水は水道水でないことは明らかですが、差し出す相手に「質のいい水」であることを伝えきれていないように思います。このままでは、「質のいい水」を差し出す相手をなくしてしまうのではないでしょうか。オーラルフィジシャン歯科医師の差し出す水の品質の良さを伝えるセンスを鍛える場がOP倶楽部であると位置づけ、サポートしていきたいと考えています。


最後に、オーラルフィジシャン・チームミーティングはじめ様々なオーラルフィジシャン育成、支援をする取り組みは、熊谷崇先生、日吉歯科診療所のスタッフの方々、OBと関連の方々によって、臨床の合間に、時には臨床を休み、休日を使い、ボランティアで企画・運営していただいていますことをお伝えさせていただきます。このような下支えがあるからこそ、価値あるセミナーや取り組みが提供できています。ぜひ、オーラルフィジシャン歯科医師の皆様、この支援に応えメディカルトリートメントモデルを地域に普及なさってください。微力ながら事務局もサポートしていきます。


それでは、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。