SAT 真の患者利益のため予防歯科を中心にした歯科医療へ

歯科界の常識を超えるためのパブリック・コメント

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パブリック・コメント



NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」~ぶれない志、革命の歯科医療が放映されました 「カンブリア宮殿」に熊谷崇が出演しました 日吉歯科診療所 あしたのコミュニケーションラボ

歯学部を卒業したての‘雛鳥’のように

2016年4月
NPO法人「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」
アイルランド・コーク大学
西 真紀子


歯学部を卒業して、歯科医師の‘雛鳥’になったばかりの時、熊谷崇先生の論文を始めて見て、ああ、こうすればいいんだと、大きな安心感を得ました。それは、乳歯のむし歯がいっぱいあるのに、予防のために歯科医院を定期的に訪れた結果、永久歯が揃うころにはむし歯ゼロになったという症例発表でした。


大学で学問を学んでいる間は、このように、むし歯をコントロールして、それ以上できないようにすることが理論的には可能であると十分に理解できます。ところが、臨床実習に上がり、さらに歯科医師免許を取得して患者さんを診ることになると、日々、むし歯のために詰め物、被せ物、そのやり直し、歯の根っこの治療、入れ歯、抜歯などが必要な患者さんに次から次へと遭遇します。どうしてこんなことが繰り返されるのだろう、予防できる病気ということがもう四半世紀前に確立されているのに。。。その疑問の答えは、たいてい‘歯科保険制度のため’で、日本で普通に診療をする限り今まで学んだ理論は患者さんに応用できないのかと、その無駄さ加減に落胆していました。


‘雛鳥’の段階で、この日本で最先端の理想的なむし歯予防を実践できると証明してくれた‘親鳥’の存在を知ったことは、知らなかった場合と比べると雲泥の差になっていたと思います。‘雛鳥’から成長してしまってからだと、それまでの自分の軌跡を肯定したいがために、自分ができなかったことを実践している歯科医師に対して、「それは地方だからできるんだ」とか「それはカリスマ性があるからできるんだ」と自分との決定的な差を取り上げ、そこで成長を止めてしまうかもしれません。アイルランドで、歯科医師の前で熊谷崇先生の話をした時に、口を揃えて「それは日本だからできるんだ」と言われた時、そう気がつきました。


日本人歯科医師の大半は日本の‘歯科保険制度のため’にできないと思い込んでいるのに、アイルランドに行くと、日本であることができる理由にされるのです。日本人はアイルランド人より従順だから、勤勉だから、健康観が高いから、衛生的だから。。。笑い話にしか聞こえませんでした。


私は‘雛鳥’だったおかげで、熊谷先生が特別に異なる存在だと感じず、見習うべき存在だと思えたのかもしれせん。確かにアイルランドでも、若い歯科医師の反応は全く違います。熊谷先生のスライドを見せると“It’s so simple!”(簡単なことよね!)と受け入れ、会う度に、“That Japanese dentist is great.”(あの日本の歯科医師はすごい。)と言ってくれます。海外からの留学生は、自国に帰ったら、あの歯科医師のように予防をやる、とキラキラしていました。


私はすでにとても‘雛鳥’とは言えない年齢ですが、この両者の違いを実感する経験から、どんな立場にあっても‘雛鳥’の吸収力を持っていられたらなあと思います。そう思うと、熊谷先生の類まれな実践力は国内外のエビデンスを吸収し、言い訳を入れず、常に成長し続ける‘雛鳥’のような柔軟さや真っ直ぐさをいつまでも持ち続けておられることによるのでしょうか。経験年数にかかわらず、歯学部を卒業したての頃、そう、誰もが名医になると決心していた頃を思い出して‘歯科医療の規定値をいったん白紙に’するという活動を推進したいと思います。



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