Social Dentistry

2020年、一般企業や医療系の社会人大学院などで「令和時代の予防歯科」というテーマで口腔領域の講話をさせていただきました。参加者の皆様より生活者ならではの視点から意見をいただきました。予防歯科を社会に広めるためには、様ざまな視点や方法が必要ですからこれは貴重です。また特筆すべきはこのような場で出てきた意見が必ずしも消費者目線だけではなかったということです。消費者目線であれば歯科に対して「FAST早い /EASY簡単に /CHEAP安い」という表面的な価値を追求するでしょう。しかしながら生活者目線は、本質的な価値を考えるようになると思います。すなわち「SLOW十分な時間をとり /SAFE安全に /EFFECTIVE効果的に」です。

COVID-19という稀に見る感染症の広がりにより多くの生活者は感染予防策に非常に注意を払うようになりました。量から質への転換が患者あるいは生活者にとってさほど抵抗感なく受け入れられるような世相です。さりとて歯科村と一般生活者との間には依然としてギャップがあります。その間に存在するステークホルダーは、全ての生活者、地域患者、企業労働者、健保組合、自治体、国保や協会健保、歯科医療関係者、多くの良識のある良質な歯科医師、民間保険会社などであり、これらのステークホルダーに理解してもらうには改めてていねいな説明や数字の力が必要です。

歯科医療におけるスタンダードを向上させる取り組み、そして患者利益を本気で考え提供する姿勢、残存歯数や歯周組織の状態といったアウトカムをどんどん社会に発信していくことによって、歯科業界と多くの生活者が繋がっていくと思います。その架け橋となるのがソーシャルデンティストリーという概念です。医療費の増大、経済の停滞、貧困率の増加、少子高齢化など社会の問題や課題に対して歯科医療が貢献できるシナリオを描きたいものです。

1999年3月
東京医科歯科大学 卒業
2004年6月
東京都西東京市 アップル歯科クリニック 開設
2014年10月
医療法人社団ADC 設立
医院HP
医療法人社団ADC
アップルデンタルセンター