日吉歯科診療所 熊谷 崇
いよいよ2013年のオーラルフィジシャン海外研修である、ドイツ研修がスタートいたします。私はかねがね、定期的に海外の最新の歯科医療の現場を視察し、研修を受けることで、日々の現場に埋没することなくグローバルスタンダードの感性、視座を磨くことの重要性をお伝えしてきました。また、そのような場を提供するため、過去には米国(ボストン、ヒューストン、オマハ)、欧州(スウェーデン、ドイツ)における研修を企画してきました。さて、今回で二回目となるドイツ研修も前回に引き続き、Sirona社の全面的なご協力のもと、ハイデルベルグ大学見学、研修、IHCFメンバーとの意見交換、ドイツのマニュファクチュアリングの現場の見学としてシロナ本社工場見学等魅力あふれるプログラムを準備することができました。特に、IHCFメンバーであるDr.ショルツに対しては受動的に講義を受けるにとどまらず、我々の日本における取り組みを発表することで、より充実したディスカッションができることを期待しています。皆さんは、今回の研修に一個人として参加しているのではなく、日本の歯科医療を本当の意味で国民にとって有益なものに変革しようと取り組んでいる歯科医師、歯科衛生士の代表として参加しています。そのような気概を忘れず、夜は深酒をせず早く就寝する等、自己管理を怠らないでいただきたいと願っています。
みなさんの研修が大きな実りあるものとなるよう酒田の地より祈念しています。
チョコレート歯科医院 加藤 大明
2013年6月2日から7日まで4泊6日の日程で2013年のオーラルフィジシャン海外研修であるドイツ研修がおこなわれ、日本から25名の歯科医師、歯科衛生士が参加しました。本研修はシロナ社サポートのもと多彩なプログラムにより構成されました。
初日は、ドイツで最も歴史の古い大学であるハイデルベルク大学において、歯周病科主任教授であるDr.Kimよりドイツの歯科事情および歯周病学に関する最新のトピックについて学ぶ機会を得ました。途中、質疑応答が白熱し予定していた大学見学の時間が短縮されましたが、研修参加者の質問の意図をよく理解し明快に回答してくださったDr.Kimに対する参加者の評価は今回の研修中最も高いものでした。オーラルフィジシャングループとしてはハイデルベルク大学およびDr.Kimとの今後のコラボレーションを現在検討しています。
二日目は、午前中にシロナドイツ本社工場においてハンドピース、ユニット、レントゲン機器、セレックの製造現場の見学をおこないました。参加者の中には実際に自身が診療室で使用している機器が「生まれた場所」を見て、感慨深く感じられている方も多くいらっしゃいました。午後、ケルン大学のDr.Ritterから最新のCBCTに関する知見を学んだ後、グライフスヴァルト大学のDr.Welkから齲蝕診断および治療方法の材料および機器についてUPDATEをうけました。
三日目午前中は、参加者の代表5名により、日本における我々の取り組みを紹介しました。5人で役割分担をおこない、それぞれ「メディカルトリートメントモデル」、「リスクアセスメント」、「治療中心型診療室から予防中心型診療室へ変換の試み」、「オーラルフィジシャン型診療室が地域に与える影響〜臨床データから1〜」、「メディカルトリートメントモデルがメインテナンス率に与える影響〜臨床データから2〜」というテーマでプレゼンテーションをおこないました。午後は、日本と類似した治療中心の歯科医医療制度をもつドイツにおいて予防的な取り組みを実践しているIHCF(現22-77-99)メンバーであるDr.ショルツ等から講義を受けました。様々な事情でIHCFの取り組みは停滞している様子で、歯科医療変革の取り組みとしては、我々のグループの方が現在のところ、よりアクティブであるとの印象を多くの参加者が受けた様です。
訪問前日まで、ドイツは記録的豪雨に見舞われる等天気の悪い状態が続いていた様ですが、幸い研修中は天候に恵まれました。研修終了後にはドイツの美味しいソーセージ、旬のホワイトアスパラガスを肴に、ビールを飲みながら意見交換がなされ、参加者にとっては研修と並ぶ貴重な機会となりました。
ここに本研修のプログラム、研修中の写真、および参加者の感想を掲載いたします。
海外研修の最大の意義は、考える時間、感じる時間を得られることです。
これまで、その時間から多くの成果が得ることができました。
今回感じたことは。
私たちの目指してきたことが、一定の成果を上げてきているという手応えと、これからもっと積み重ねていくことができそうだという希望と世界一患者利益を求めた歯科医療を展開できそうだという可能性でした。
参加者のプレゼンや研修中の会話を通して、MTMの重要性や将来性、広がりがしっかり理解できている人が増えていると感じることができました。
歯科医療のイノベーションとして
生涯にわたり口腔内の健康を維持するという価値を実現していく。
その手段として、メディカルトリートメントモデル、メインテナンス、科学的根拠に基づいた治療、専門医との連携による治療の質の確保。
そして、提供した歯科医療のアウトカムの評価、データの収集、解析、評価を実施して確実に目標に近づいているかの確認を怠らない。
妥協せずにしっかり診療室、地域に定着させることが可能だと実感できました。
歯科医療のイノベーションを通して、歯の価値、歯科医療の価値を上げていく。
そして、メインテナンスを受けるために歯科医院を訪れる人々を増やしていく。
手を抜かずに一つ一つ積み重ねていくことで、結果を出していく。その結果を、着実にデータとして残し、新たなエビデンスを構築していく。
そのような歯科医療を実践することが、世界一になるための上向きのスパイラルが起こしうるのだということを感じることができた研修でした。
なぜなら、
私たちが実践しよう、今できていることが決して劣っていない、むしろ進んでいることが実感できたこと。
しっかり努力仲間がたくさんいることを感じることができたこと。
その仲間同士のディスカッションの質が非常に高かったこと。
メディカルトリートメントモデルを実践することが、診療室のさらなる発展と地域の変革、ひいては日本の歯科医療のイノベーション、世界一の歯科医療の構築に繋がっていることを実感することができました。
シロナの工場見学では、
製造業におけるイノベーションのすがたを垣間見ることができました。
ハイデルベルグ大学の講義
キム先生の講義では、ドイツの歯科事情の変化をしることができ、変わりつつある大学病院の変化を見学することができました。
確かにすごいと思いましたが、私たちも同じように負けないくらいのイノベーションを積み重ねてきたのだとの手応えを感じることができました。
IHCFの先生方、診療室のスタッフの方などといろんなディスカッションができるのではないかという期待があったのですが、そのことが実現しなかったことは、とても残念でした。
ドイツと言えば、日本がドイツの保険制度を模倣した国。ドイツを見れば、数年後の日本が見える。そう言われていたため、前回のドイツ研修では日本の歯科医療の将来像を見てみたくて参加した。
当時のベルリンは、歯科医師過剰が急速に進み、人口あたりの歯科医師の数は東京以上に過密となっており、経営的に行き詰まり銀行管理になっている診療所も少なくないと聞いた。しかし、専門分野に特化した歯科医院には患者さんがあふれ、特に予防に特化した歯科医院は規模も大きく、私の向かっている方向性は間違っていないと確信できた研修であった。
今回はそれがどのように進んできたのか。これからどのように進もうとしているのか、もう一度自分の目で確かめたいと思った。
自分の持っていた疑問は、一日目のハイデルベルグ大学の歯周病学Kim教授(ヨーロッパで二番目に古く、ドイツの歯学部では最難関のハイデルベルグ大学を卒業後、医学部卒のダブルライセンス、その後歯周病大学院を出て歯周病専門医、教職員免許取得という超エリート)の講義とディスカッションでほとんどの疑問を解決できた。
その内容を一部紹介したいと思う。
ドイツの教育はElementaryschoolという4年間の教育を受け、10歳までに自分の進路を決めないといけない。大学へ進学を希望する場合は8年、専門学校へ進もうとしている人は6年、就職を希望する場合は5年の教育を受けその後歯学部へ進学を希望して、受験できる点数を取っている優秀な学生だけが受験を許される。歯学部はほとんど全て国立大学で、受験時の点数によって入れる大学を国が決めている。自分で希望する大学へは進めない。ハイデルベルグ大学だけは、特に優秀な学生を大学側が選ぶ事ができる唯一の大学であるとのこと。歯科病院で見かける学生が本当に秀才に見えた。
歯学部は5年間でその後国家試験を受ける。
まずはGPになれるが、専門医になるためには2年かかり、矯正専門医は3年、口腔外科は4年、口腔顔面外科は6年間の医学部を卒業後、口腔外科4年が必要で、とても優秀な歯科医師が担当しているとのこと。(それだけ全身の事がわかっていないとできないということであろう)
歯科衛生士の学校は現在もない。看護士のレベルも低い。歯科衛生士は大学コースでない人でも6か月の教育を受ければなれるということで、レベルはかなり低い。教授のオフィスには4名の歯科衛生士がいるが、スウェーデンで資格を取得したとのこと。歯科衛生士の教育機関がないという事は、すべてドイツ政府が決める事なので、どうしようもない。今後認定制度などを採用していかなければいけないが、今まで歯科衛生士の地位が低いため今後改革するような可能性はない。
歯科医師過剰問題は2年目までは過剰だったが、国が歯学部の定員を削減し(全て国立のためやりやすい?)オランダもそうですが入学生の70%が女性(男性には魅力的な仕事ではなくなってきているのかも)。そのほとんどがフルタイムでは仕事をしないため、今では田舎(旧東ドイツの北東部)では、診療所をゆずりたくても購入するドイツ人は少なく、近隣の国の歯科医師が購入しているとの事。きっと日本でも政府が同様の政策を打てれば歯科医師過剰問題もなくなると思われた。
予防歯科に対する興味はどうか?
修復歯科のなかに予防歯科が組み込まれている。学生教育には予防が大事という事は教育するが、しゃべってお金が儲かるという事はないので、卒業すると補綴などにほとんど進んでしまうとの事。
歯科衛生士の業務範囲は、歯肉縁下のキュレッタージ。レントゲン撮影まで。浸潤麻酔はだめということ。
メインテナンスは公的保険制度に入ってはいるが、チェックアップだけは無料(チェックアップとは見るだけで、メインテナンス処置は有料)。メインテナンスをうまくやれる歯科医師はドイツにはほとんどいないとのこと。
一日目のKim教授は私たちの疑問に対して、的確に答えていただいた。
三日目にIHCFのシュルツ先生とオーラルフィジシャン診療所の代表5名の先生方のプレゼン、ディスカッションでは、私たちの診療所が患者さんの口腔の健康に対しての貢献度の方が、はるかにドイツのトップ歯科医師より上だということが実感でき、これからもっと質の向上を目指せば、日本の歯科医療は世界でもトップに立てる可能性はあると思われた。
今回発表された、斎藤、加藤、江崎、川原、柴田の5名の先生方は、発表の準備が大変だったと思いますが、私も刺激を受けた素晴らしい発表でした。
その他のプログラムも最新の歯科医療機器や、先進技術など盛りたくさんの内容でとても充実した研修となりました。
また、今までにはなかった観光がプログラムに一日入ったおかげで、ドイツと言う国がとても美しい国だという事も実感できました。
今回2013年6月2日から6月7日までドイツに予防歯科ならびにシロナ工場見学の研修に参加させていただいてありがとうございました。またドイツのショルツ先生を交えて参加しているオーラルフィジシャンの先生方の前で発表させていただき、私自身多くのことを勉強させていただきとても光栄に感じています。
6月2日は東京成田空港からフランクフルトに夕方に到着し、ハイデルベルグ市内にあるユーロペーイッシャーホフホテルという歴史的に由緒あるホテルに到着、夜は参加した先生方、日本のシロナ社の方々を交え夕食会が行われ、各自の紹介もありこれからの研修を受ける仲間との食事はとても楽しく会話が弾みました。
翌朝の6月3日午前はハイデルベルグ大学歯学部の見学と、歯周病科の教授でいらっしゃるキム先生の講義があり、ハイデルベルグ大学医歯学部全体の歴史的背景の深さ、将来の新校舎の拡大、ドイツ国内における学校教育のレベルが理解できました。ハイデルベルグ大学はヨーロッパで最も歴史が古く規模の大きさや教育レベルの高さなどもとても大きいものでした。またキム先生の実際の臨床症例など講義をうけ、世界的にインプラントのために簡単に歯を抜歯する傾向にある現状の中、先生は少しでも天然の歯を残すように努力すべきだとの自分の考え方を述べられ、歯科医療に対する本質というものを感じ、私はとても素晴らしい先生だと実感しました。
午後はハイデルベルグ市内観光を行いハイデルベルグ城も見学してきました。ハイデルベルグは歴史的にお薬の製造でも歴史があり、私たちが現在なにげなく使っている抗生剤など、ここから発祥されたものだと聞くと、これもとても感動し、勉強になりました。
6月4日午前はベンツハイムにあるシロナの工場見学、午後はドイツ国内の先生2名をお呼びして予防歯科に関する講義が行われました。予防歯科に関する新たな情報としてE1のカリエスを容易に発見、視診することができる機器などを紹介していただきとても参考になりました。シロナ工場内見学はシロナの製品の一つ一つの部品が項目的にきちんとチェックされながら精巧に作られているのがわかり、品質管理や品質の高さなど、その理由を理解することができました、
6月5日午前中はドイツのショルツ先生を招いて日本人5人の先生が日本での予防歯科の取り組み、日本におけるこれからの歯科界へのミッションとして5人の各自の取り組みを発表されました。私もその中の一人として参加させていただき、私の現状の取り組みをご覧いただいたショルツ先生からアドバイスやコメントをいただきました。それはこれから私の臨床の取り組みにとても勉強になり、励まされました。また他の4人の日本人の先生方の取り組みや将来の構想などもわかってこれも私にとって大きな勉強となりいい動機づけとなりました。午後はショルツ先生の講義が行われ、ショルツ先生自身の医院の説明や予防歯科に関する材料の紹介説明がありそれもとても参考になりました。
6月6日はドイツ観光日で、シュトゥットガルト近郊にあるドイツでも有名な名城ホーエンツォレルン城見学と中世の街並みを残すとてもきれいな街、チュービンゲンを訪ねました。ドイツの南地方は本当にきれいな歴史のある街が多く、その歴史の深さをあらためて知ることができました。またドイツ国民は自然環境をとても大事にする国民ということが理解できました。今回のドイツオーラルフィジシャン研修で内容の濃い、毎日学ぶことが多く、これほど有意義な研修はないと心から感動を覚えました。
今回初めて、オーラルフィジシャンの海外研修に参加させていただきました。
たくさんの先生達に交じって、歯科衛生士は、私を含め3人と少々心細く感じていましたが、歯科衛生士としてまた広く歯科医療人としてドイツの、歯科の現状を見てまいりました。
ドイツ初日は、ハイデルベルク大の、Dr Kimの講義を受講、先生はメディカルドクターの資格取得、アメリカ留学など幅広い経歴をお持ちで3人のお嬢様を育てながらも、更に勉強したいとおっしゃっていましたが、この向上心はどこから来るのだろうと思いつつ、先生の穏やかな笑顔と自信に満ちたお話がとても印象的でした。
先生のお話のなかで、ドイツの歯科衛生士は、国家資格ではなく、6カ月の専門学校を出ると、歯科衛生士として働く事ができ、スケーリングや、レントゲン撮影をすることができるという事でしたが、日本の歯科衛生士に比べ衛生士としての職業があまり重要視されてないように思いました。
少なくとも私達オーラルフィジシャンコースを受講した歯科衛生士に比べ予防歯科を行ううえで、有効に生かされてないのが少し残念でしたが、予防という観点から、国を挙げて取り組んでいるシステムに、年に最低1度は歯科の検診を受けないと翌年の保険料が上がるということでした。
虫歯や歯周病にならないように早期発見予防するというシステムで、日本もこのようなシステムを、国を挙げてやっていけば虫歯や、歯周病もかなり減るのにと、ドイツのこのシステムをうらやましく思いました。
Kim先生の講演の後、大学内の歯科クリニックの見学と歯科大生達の様子を見学させていただきました。
大学内は、整理整頓されていて明るく開放的で、歯科大の学生の皆さんも熱心に勉強されていて、Kim先生が歯科大に入るには、エリートでないと入れないし、入ってからもかなり勉強しないといけないとおっしゃっていた事に納得しました。
2日目にSIRONAドイツ本社の見学と、Dr.リッターとDr.ウェルクのレクチャーを受けました。
SIRONAの見学では、ドイツの職人魂を感じました、ひとつひとつていねいにそれぞれの担当の方が責任を持って仕事をされていて強い信頼を得ている事をあらためて確信し、普段見る事がない部分を見学させていただき、何故SIRONAが世界の歯科産業としてここまで成長してきたかがわかるような気がしました。私達も見習う点が多々あったと思います。
3日目は、日本の先生達の発表があり、Dr.ショルツから、個々の先生方に感想やコメントをいただき、日本の歯科のレベルを高く評価して下さり、オーラルフィジシャンコースを受講した一員としてとてもうれしく思いました。
最終日は、ホーエンツォレルン城を見学しました。ドイツの方々は古くて歴史のあるものを大切にされていて、お城や街並みを、今でも壊すことなく大事に使用され、物を大切にする精神が街の至る所に見受けられ素敵な街でした。
4泊6日の、ドイツ研修で、日本では見られないものをたくさん発見でき、この研修に参加できて本当に良かったと思います。
一昨年のスウェーデン、マルメ研修に続きドイツ研修に参加させていただき、今回の研修も興味深く、いろいろなことを考えさせられる機会となりました。
日本とドイツでは、歯科医療のおかれている状況がよく似ているという印象を受けました。たとえば、DMFTの推移でみるう蝕の罹患状態やメタボリックシンドロームを代表とする生活習慣病。保険制度は疾病に対して支払われるために、治療中心の歯科医療があること。スウェーデンではう蝕や修復歯のある子どもを見つけるのが難しいといわれるほどでしたが、ドイツは日本の一般的な診療室と同じく、カリエスフリーの子どもを探す方が大変なのかもしれないと感じました。
確かに12歳児のDMFTは1を下回り、う蝕歯は減少傾向にあるのかもしれません。けれど、その後は経年的に隣接面う蝕が増えて結果として修復治療へと進む。歯学部の教育では予防に大切さをそれなりには説いているようですが、いざ歯科医師として勤務するようになると、いかに歯を削るかが課題となる。そのような状況は日本と同じなのかもしれません。
そんなドイツでの予防歯科は、う蝕、Lesionをいかに早く見つけてどうにかして進行を遅らせようとすること。それが、隣接面う蝕の検出器や、新規充填材料の技術開発につながっていると感じました。これまでのう蝕治療は、初期う蝕は見逃しまたは放置して、Cavityになってからアプローチをしていたので、その観点からみたら一歩進んでいるのかもしれません。だから、『Drill and Fill』から『Heal and Seal』がコンセプトになって、様々な技術や発想が、機器や製品を生み出すのだと思います。一つ一つ手作業で組み立てられるシロナの歯科ユニットは、機械よりも人間の技術が優れていることを示しているのだと感じましたし、2〜30年経っても使用されているという話をうかがうと、ものを大切に扱う文化の背景には職人の技術があるようにも思えました。
ところが、『どうしたらう蝕も歯周病にも罹患しない、させないで健康にコントロールできるか』という観点から見ようとすると、考え方とアプローチが違うのか、なんともすっきりせず、どうしても答えがだせませんでした。ドイツ職人の技術が素晴らしいだけに、もっと天然歯を大切にしてあげられると、よりよい予後を得られるのに、もったいないことをしているように感じました。20歳より前に複数本のインプラントの処置が必要になるケースは珍しい方なのかもしれませんが、それを紹介されたのは衝撃的でした。各先生方の講義では、結論として天然歯が大切、ということにはなっていましたが、どうしてもっと早くリスクを把握して、介入できなかったのか、と思ってしまいました。だからこそ、幼いときから自分の健康観を育成していくU20の果たす役割がとても大きいとあらためて認識させられました。
ドイツでの教育や大学組織は国家に権限があることが多く、自由な発想が現実にならないことも弊害の一つかもしれません。歯科界のあり方に大学や臨床家からの意見が反映されにくい状況では、高い健康感をもった国民を育てていくのは難しいのでしょう。
その点、日本はもっと柔軟な姿勢で臨むことができると思います。歯科界が良い方向へ変わっていくために、オーラルフィジシャンの先生方が示された取り組みが有効であることを確信しました。オーラルフィジシャン診療室からの良質な臨床データはエビデンスとして、必ず歯科界を支える基盤になります。またMTMの取り組みを教育現場に反映させ、大学から臨床データを発信していけるのであれば、その大学の存在意義はとてもとても高くなると思います。
最終日の観光で訪れたホーエンツォレルン城は、歴史的にも重要なお城であるということでしたが、現在の建築物は3代目といいます。その3代目でも、築城から150年ほど経過しており、こちらのお城は今でも城主個人で管理が行われていて、維持、修繕のために莫大な費用がかかるようです。それでも定期的なチェックとメインテナンスを欠かしていないからこそ、立派な姿を拝観することができます。観光地でもメインテナンスの重要性を教えていただきました。
今回のドイツ研修で最も心待ちにしていたのが、IHCFのシュルツ先生、ライヒ先生との合同ミーティングでした。(ライヒ先生は事情でお越しになれませんでしたが)前回のドイツ研修やチームミーティングでライヒ先生の講演を聞き、IHCFやドイツの歯科事情を知りました。また、「ドイツに見る歯科医院経営の未来形」にショルツ先生が記載されていた内容が気になっていましたので、日本と同様に国民皆保険のドイツにおける歯科事情、予防歯科が現在どのようになっているのか、また、私たちの取り組みについての発表もありましたので、ドイツでの取り組みとの比較など、とても興味をもっての研修でした。
研修は、ハイデルブルク大学のキム先生の講義から始まりました。ドイツの歯学教育制度から保険制度、歯科事情まで様々なお話をしていただき、質疑応答もキム先生のお人柄、知識の豊富さ、回答の明瞭さも相まって時間オーバーとなりました。また、リッター先生による3Dイメージの講義とアレクサンダー先生による新しいう蝕予防の講義も、今後の歯科医療の方向性を感じる講義でした。シュルツ先生との合同ミーティングでは、「歯の価値」「健康の価値」をいかに伝えるかと同時に、起こりうる社会の変化にいかに対応するのかを考える良い機会となりました。実際にドイツに来て、自分の目で見て耳で聞いて肌で感じないとわからない貴重な経験ができました。
今回のドイツ研修が5回目の海外研修となりました。私にとって海外研修はいつも大きな成長を約束してくれます。海外に出ることによって、視点が変わったり世界との比較をしてみたりして、自分たちの診療を見つめなおす機会を得ると同時に、参加している多くの仲間から、問題解決のヒントやとても有意義な刺激を受けることができます。
梅雨入りした蒸し暑い四国を出発し、成田空港で熊谷先生から気の引き締まるようなメッセージを受け取った後、いざドイツ研修へと行ってまいりました。
今回のドイツ研修で、楽しみにしていたことが4つあります。
一つは大学の卒業旅行でハイデルベルグを訪れた際、歯学部があると聞いていたので、再び訪れる機会ができそこで見学講義が受けられること。
2つ目は当院にも昨年セレックとシロナのCTが導入されたので、その本社や工場はどんな様子なのか実際に見ること。
3つ目は院長から聞いていたドイツの歯科事情、またデンタルエクセレンスはその後どうなっているのか実際に聞くことができるということ。
4つ目はオーラルフィジシャンの先生方の発表を聞き、交流できること。
1.ハイデルベルグ大学でのキム教授の講義は、わかりやすく、眠気も忘れて聞き入りました。はっきりと自分の意見や考えを述べるところに共感を覚えました。ドイツの教育制度、ドイツのDH制度、ドイツも公的保険は疾病保険であること、インプラント周囲炎の問題、インプラントか保存再生療法かの選択、考え方。
DH制度は日本が先を行っていますが、その他は日本とよく似ていると感じました。
2.シロナ工場見学では日本と同じような仕組みで物つくりがされていることがわかりました。シロナ製品の購入に当たり、シロナジャパンの方から学ぶことは多くありましたので、その本社はどんなだろうと楽しみにしていました。社員の勤続年数が長いということからも社の風土を感じました。当院へ運ばれてきたセレックやCTが作られている様子を実際に見て、器械に愛着もわきましたし感慨深いものがありました。
3.「歯科医療の未来系」という本を読んで、その後のIHCFがどう発展しているのか
デンタルエクセレンスの歯科医院は増えたのか、質の評価の方法はどのようにしているのかなど知りたいことがたくさんありました。
しかし、IHCFは形骸化しており、国民レベルでオーラルヘルスを改良しようという目標は難しかったのだなと感じました。
経済的に苦しかったドイツの歯科医師が自費診療の割合を増やすことで経済状態が改善されているということや、ティーンエイジャーのう蝕の問題は日本の現状と似ていました。う蝕の診査や、隣接面平滑面初期う蝕への対応は取り入れて試してみようと思います。
4.オーラルフィジシャンの研修でいつも感じることは、価値観が同じ、フィロソフィーが同じ先生方の発表を聞いたり、お話しするのはとても楽しいということです。心置きなく歯科医療のことを話せる場があることをありがたく思います。また一昨年のマルメ研修で一緒だった先生方が前へ前へ進んでいる様子や、若い先生方の成長を眼にすると励みになりますし頑張ろうという気持ちになりました。
ドイツ、日本では、医療保険が疾病保険なのは問題です。当院では、MTMは土台の部分なのでそれを特別なものと考えるのではなく、できるだけ保険の仕組みをうまく利用して全ての患者さんにMTMの重要性を伝えて実践していきたいと思っています。
このドイツ研修は非常に楽しみにしていた研修の一つだった。なぜなら、スウェーデンの歯科事情については過去のマルメ研修等で学んでいたが、他のヨーロッパ諸国の歯科事情というものがまだまだ知らないことが多かったからである。この研修に参加してみての率直な感想は、私たちが行なっている歯科医療は圧倒的にドイツのそれを凌駕しているということだった。私が期待していたものがドイツで展開されている傾向ではなかったが、実際に現地に行き、ドイツの歯科事情を学んだことで、私達が行なっている歯科医療が地域の人々に大きな利益を与えているということがより明確なものとなった。
私は歯科大学を卒業して7年目になるが、これまでに、アメリカ、ヨーロッパと幾つかの海外研修に参加してきた。それぞれの国で長所、短所はあるが、海外で歯科医療を学べば学ぶほど、私達が行なっている歯科医療は世界のトップレベルだと感じる。なぜなら、ここまで患者利益を追求した歯科診療システムを海外で見たことがないからである。しかしながら、アメリカやヨーロッパでは歯科医療、歯科医師、歯科衛生士など歯科に携わる職業は国民に評価されているにもかかわらず、日本におけるそれぞれの評価は未だに低いままである。日本の歯科医療、歯科従事者が国民や世界に評価されるように日々発信し続けていきたい。
昨年のオーラルフィジシャン27期を受講し12月に修了しました。「何を学びに行きたいか?」よりも自分に対して後ろのドアを閉める目的でドイツ研修に参加致しました。
勿論、様々な情報を得る事がありましたが、むしろ、それらに対して同行した先生方の感想を聴くことからの学びの方が大きく感じました。
ドイツにおける医療に関しては殆ど無知に近い状態での参加でしたが、どこの国も同じような問題を抱えていました。かつての景気の良い西独からすれば、個人負担も増えているようですが、未成人の矯正治療は保険適用されており、子供の頃から歯根を整列させる事は理にかなった制度であると感じました。
また、オーラルフィジシャンの受講後間もないので、OB、OGの方々間でどのようにかかわり合っているのかを存じ上げませんでしが、同じ志を持った仲間が集まれば、まるでかつての部活の仲間と再会したかのように打ち解け合い、日頃の職場に置ける問題点を話し合い、分かち合う時間を別の期の方々と共有できた事は、とても貴重な財産となりました。「呑みニケーション」の時間は大変有意義でした。
去年の秋、院長に呼び出され、「実は来年の6月にオーラルフィジシャンのドイツ研修があるんだけど、参加するよね?」と言われて、私は「衛生士4年目にして研修で海外に行けるの?! 行きます!」と参加する決心をしました。海外研修を知ったきっかけがこのような形で申し訳ありません。
12歳時のDMFT指数を諸外国と比較したグラフを見たことがあります。日本がかなり高く、予防歯科最先端をいくスウェーデンとの差がついていて愕然としました。ドイツもスウェーデンと同じヨーロッパですし、医療用語にドイツ語がつかわれているくらいなので、どんなメインテナンスをして、どれくらいの成果がでているかに興味がありました。
やはりヨーロッパは歯を温存するというところで日本と似たところがありました。2日目に講義をしていただいたキムDrのメインテナンス実績が素晴らしく、数年前のデータがすぐに出てくる規格された資料採りに圧倒されました。まだヨーロッパで研究段階の初期齲蝕に関する最新技術の講義など、日本で臨床に取り組み続けていても聞けないであろうことを聴くことができて、ドイツに来てよかったと感じました。
この海外研修に参加して最も感激したことは、参加者みなさんが「生涯にわたり口腔の健康を維持することへの想い」が熱いことでした。朝のホテルの朝食から始まり、バスで移動中、夕食会まで議論されている姿を見て、私は歯科衛生士として担当させていただいている患者様のお口の健康を守っていきたい、サポートしていきたいとますます感じました。ドイツの先生方の熱い想い、日本の先生方の熱い想いを感じ取れた刺激的な6日間でした。
ササキデンタルクリニック:佐々木 成高
オーラルフィジシャン海外研修は、2011年のスウェーデン、2012年のオマハ、ヒューストンに続いて3回目の参加となった。
毎回、新たなる感動があり大きく変化していく姿を、診療所のスタッフに指摘される。毎日行っているミーティング、患者とのコミュニケーション、診療そのものに大きな影響があるのだろう。今回の研修ではいかなる変化があり、スタッフから何を指摘されるのか、明日からの診療が楽しみである。
ドイツのイメージとすると、歴史的にみて日本と共通している部分が多く、国民性も似通った所があると聞いていたので、歯科医療の提供体制も共通点が多いのではないかと想像しながら本研修に参加した。
最初に訪れた、ハイデルベルグ大学歯学部 歯周病学のキム教授より、ドイツの教育システム、現在の歯周病学の考え方、保険制度を含めた歯科医療提供体制、歯科衛生士の状況などを講義して頂いた。その中で予防歯科においては、熊谷先生を筆頭とするオーラルフィジシャン診療所のMTMに基づいた診療体制が、ドイツを超えたと感じたのは私だけではなかったと思う。この事実は、大きな自信となり方向性に間違いがないことを確信できた。一方、専門医制度の部分ではドイツを含めた他の国々と比較して、日本はかなり遅れをとっているので、今後は日吉歯科が実践している専門医との連携を模索していきたい。
2日目の午前はシロナ本社工場内を見学する機会をえた。シロナ製品のヘビーユーザーを自負する一人としては、楽しみにしていた企画であった。工場内は予想していたとおり5Sがしっかりとしていて、優良な製品を生み出す基本的な体制が確立していることが理解できた。また、シロナの大きな特徴として、毎年の総売上の10%を新製品の開発にあて、工場内のイノベーションセンターにて日々創造していることである。企業の秘密保持のために、センター内を見学することができなかったのが残念であったが、新製品の開発が可能な環境が整っているのが容易に想像できた。これからも歯科医療のパラダイムシフトをおこすような、新製品の開発に鋭意努力して頂きたい。
午後からは、ケルン大学の口腔顎顔面外科のリッター先生よりCBCTガリレオスの臨床応用についての講義を受けた。ユーザーの一人としては大変参考になる内容であった。
グライトスバルト大学のアレキサンダーウェルク先生から、ドイツの予防歯科の現状とトピックスについてのレクチャーを受けた。予防歯科の最新の研究をお話いただき、興味深い内容であった。先生には、遠方からピンチヒッターとしてお越し願い感謝している。
3日目は、楽しみにしていたオーラルフィジシャン 5名による発表と、シュルツ先生のコメントとレクチャーである。
斎藤先生からはオーラルフィジシャンの取り組みについての総括的な発表があり、日々進化し続けている緑町斉藤歯科の現状には頭が下がる思いである。
加藤先生からはリスクアセスメントの文献的考察を交えた発表で、リスクに応じたメインテナンスの期間の設定の必要性と、唾液量と唾液緩衝能はリスクファクターのエビデンスレベルは低いが、強いエビデンスが欠けていることで何も試みないより、現状で最も有用なエビデンスを組み込みながらリスクアセスメントを行っていくことの方がはるかに重要との報告があった。
江崎先生からは、治療型歯科医院から予防型歯科医院への変化していく過程と現在の患者の満足度、メインテナンス率、自院の患者の現在歯数と歯科疾患実態調査との比較などの報告があった。
川原先生は、初診患者の口腔内状況の変化と子供たちの口腔内状況の変化の検証を報告された。その結果、MTMは地域住民に支持され、確実に成人と小児ともに口腔内の状況がよい方向へ向かっていることがわかった。
柴田先生からは、インプラント埋入患者のインプラント周囲病変のMTM導入による変化を検証され、適切なメインテナンスを行っていれば、ヨーロッパにおけるインプラント周囲病変率よりも、良好な結果がえられたとの報告があった。
何れの先生の発表も参考になるものばかりで、MTM導入後の各種データのアウトカムの重要性を再認識した。
シュルツ先生からは、前述の先生方の報告のコメントと、各種リスクアセスメントのレクチャーを受けた。
私的には今回のドイツ研修の中で最も印象深い一日となった。
4日目は、ホーエンツオレルン城の観光に参加した。初日に観光したハイデルベルグ城と合わせてドイツの12世紀からの歴史が多少なりとも理解ができた気がする。ドイツの歴史は戦争の歴史といっても過言ではなく、特に第1次世界大戦、第2次世界大戦では大敗を喫した。その経験を糧として、現在の教育制度は大学を中心に知力で他国に勝っていく姿勢がはっきりと見てとれた。
実際にハイデルベルグ大学歯周病学講座が実施しているサマースクールには、ヨーロッパ各国、南米、日本からも参加する歯科医師がおり、私が所属していた口腔外科の医局でも、教授、准教授がテュービンゲン大学の口腔顎顔面外科へ留学していたことからも、歯科医療に関しては学ぶことが多いことが理解できる。
しかしながら、MTMをベースにした日本のオーラルフィジシャンの取り組みは、ドイツの予防歯科の現状と比較して、それを上回っており、国際的にみても高水準にあることが認識できたのが本研修の最大の収穫となった。
ハイデルベルクには「哲学の道」という名の道が存在します。ゲーテやヘーゲルをはじめとする思想家や詩人から多くのことを引き出してきた道です。今回の海外研修は、私にこの「哲学の道」の役割を果たしてくれました。日常とは別世界のドイツが醸し出す何とも言えない雰囲気、熱意あふれる参加者、講演いただいたドイツの先生方、シロナ社とその社員の方々、発表の機会など様々なことが自分の臨床や医院を見つめ直し、次につながるヒントとモチベーションを私から引き出してくれました。帰国し、この文章を書いている今も、このことは続いていて妻やスタッフにしゃべりまくっています。
いくつかの印象に残った場面を述べてみたいと思います。
初日、ハイデルベルク大学Kim先生の講演後には次々と質問が飛び交い、コーディネーターの加藤先生も質問を打ち切るのが大変な状態でした。講演したKim先生のすばらしさと参加された方々の研修にかける熱意を感じた場面でした。その日の夜は、斎藤、佐々木、川原先生らとご一緒に食事をさせていただきました。美味しいドイツビールを飲みながら意見交換がなされました。正に化学反応が進むように次々と様々な視点からデスカッションがなされました。
とても興奮する刺激的な時間でした。この日だけでなく参加された方々と過ごした時間は大変有意義でした。
ドイツの先生方、シロナ社の方々からは自分たちに欠けている部分と自分たちの方が先んじているかもしれない両方の部分を感じました。特にドイツのメインテナンスの状況は予想していたよりも芳しくなく、シュルツ先生が、彼の友人たちがメインテナンスなしにインプラント治療を行っているという現状は、驚くとともにショックでもありました。衛生士教育も充実していないようで自分にとっては意外なことでした。シロナの工場見学では、インスツルメントが勤務数十年の熟練工の手作業で仕上げられている姿をみて、モノづくりへのこだわりを感じるとともに、手作業ということが驚きでもあり、意外でもありました。
何事も実際現地に赴き情報を得ることの大切さを再認識しました。
今回は発表という貴重な機会も与えていただきました。発表の前日まで考えぬいて内容をまとめたことは、色々な気づきを得ることにつながりました。他の先生方の発表、そしてシュルツ先生のコメントからも多くのことを学ばせていただきました。
出発の朝、結団式で、熊谷崇先生からの出発にあたりという手紙がありました。その中で、日々の現場に埋没することなくグローバルスタンダードの完成、視座を磨くことの重要性を示唆されていました。その言葉で引き締まり、帰国後あらためてその言葉をかみしめました。
Frankfurtへまず到着し、バスにて約1時間で学園都市Heidelbergに到着しました。前日まで雨続きで河川は増水しておりましたが、到着後我々がいる間はずっと良い天気で誠に気持ち良く過ごせました。
翌日ドイツで一番古く名門のHeidelberg大学で、午前はPrf. KimよりPeriodontal Therapyについて講義を受けました。まだ若い女性で教授になられており、非常に勉強熱心な先生でした。しかもとても気さくで大変人がらの良い人でした。講義もコンサバティブで内容深いものでした。質問も殺到し、ドイツの歯科環境についての質問もずっと続きました。ドイツでは以前歯科衛生士の免許がないというのを聞いていましたが、今も同じ状態である事が確かめられました。それぞれの地域で認証されて歯科衛生業務が行われているのですが、その認められている範囲も確かめられました。さらにはドイツの教育事情について理解を深めました。
次の日バスで約1時間内のBensheimにあるSirona本社へ移動しました。
午前工場見学。この道何十年の専門職を見させていただきました。前日のKim先生の話と本日の話より、10才前には今後の進路を決め、格差によって日本よりチャンスの少ない面もわかりました。ベッドの中で移動のバスの中で、ドイツからチャンスを求めてアメリカへ渡った人、渡る人へ、思いをはせました。
午後は2人の大学の先生からレクチャーを受けました。
まずケルン大学Ritter先生からCTレクチャー。Prf. Kimも言われていましたがX線被ばく量についてドイツでは日米に比べて、より気を使われていました。
次のGrefswaldから来られたDr. WelkからのMIコンセプトのカリエス診査診断治療についてのレクチャーには大変感銘を受けました。DMFTだけでは本当に起こっている事がわからない面もある。予防メインテナンスをおこなっていっても、カリエスが進行する事についての見極め。咬合面のHidden-Cariesや隣接面カリエスの進行動向。初期う蝕で削るか否かの非常に迷う場合の判断基準。などです。
色々なカリエス診断方法と器具そしてその評価が聞けた事により、自分の求めていたカリエス評価について、とても大きな答えが得られました。
次の日、Sirona本社のミーティングルームを使って日本人5名の方より、現在のMTMを基盤とした予防歯科の取り組みの発表とIHCFのDr. ScholzよりIHCFの現状やカリエスリスクのソフトウエアの説明、カリエスとぺリオの診断器具と治療材料の説明がありました。
今回参加して私にとって大きかった点を3点あげます
第1点は、上記の事から特にカリエス治療について世界の現在そして少し未来の治療コンセプトの確認ができた事。
第2点は、意識の高い、日本人プレゼンターの皆さんや他の参加者の皆さんとお話しでき、自分のオフィスでやるべき事のヒントを沢山持てた事。
そして第3点は、ドイツのマニファクチャリング現場に、直に接し、ここの所、思案していた事とぴったりシンクロしたことです。
今回Stuttgartへ最終日に観光で寄らせていただき、ポルシェミュージアム、ベンツミュージアムと隣接するサッカー競技場ベンツアリーナを見ることができました。
町中を走る車の多くがベンツとポルシェという当然のことなのですが、それがある意味非日常であり、不思議な感覚と刺激を受けました。ベンツミュージアムでは車の歴史をわくわくしながら学べ、ポルシェミュージアムでは圧倒的なデザイン性、清潔さに、血が沸き立つのを感じました。
私の診療室は築40年のビルで外装補修が20年経ち、劣化が激しくこの度改修する計画があります。外観の事ではありますが、これも一流のエッセンスを少しでもふまえたく、先日より、銀座、日比谷、表参道の一流ショップのファサードを見て撮って歩いてきました。ドイツでのインスピレーションを受け、予算のある事ですがこれからの計画に大いに役立つものと思います。
今回ドイツ研修に参加できとても嬉しく思います。
歯科衛生士の立場としてこういった研修に参加できる機会は少ないため、良い経験になりました。
ハイデルベルク大学での講義で驚いた事が、歯科衛生士のステイタスが低いということでした。
今自分が働いている環境は歯科衛生士としての力が発揮できる場所であるため、ありがたく感じもっと知識や技術を向上させたいと思いました。
もう一つは予防が確立されていなく削って、詰める、被せるが主体ということでした。
日本もまだまだそういうところがあるため少し似ているところはあるなと思いました。
他ドイツのメインテナンスについてや保険の制度などの話を聞く事ができ良かったです。
特に私はぺリオの勉強が好きでキム先生の講義は分かりやすく勉強になりました。
シロナ社での講義は1日目・2日目とすごく充実した講義でした。
特に2日目の日本の先生方の発表は聞き入りました。
他の歯科医院について知る機会は少ないため、良い機会となりました。
他の歯科医院さんを知ることにより自分自身良い刺激にもなります。
ドイツ研修に行き先生方の貴重な話が聞けたり一緒に参加させて頂いた先生方と意見交換をすることによりとても勉強になりモチベーションがあがりました。
こういった機会を与えてくださりありがたく思います。
また、こういった機会があれば参加しもっといろんな世界を見てみたいと思いました。
ドイツの歯科医療の現状は、「なぜ?」の連続でした。悪い意味で自分の想像とは大きくかけ離れていたのが驚きでした。
・ハイデルベルク大学Dr.キム曰く、「現在のドイツで開業医において良質なメインテナンスを受けることはなかなか難しい」とのことでした。→リスクに基づいたメインテナンスへの取り組みが、国全体のコンセンサスとしてできていないのか? 名人や達人の診療所にいかなければドイツ国民は口腔の健康を維持できないのでは? 多くの疑問が残りました。
・年に二回の無料のチェックアップ(視診とプロービングのみ)を定期的に受ければ、補綴処置の必要な歯牙が見つかった際40%の保険給付を受けて補綴できる。→リスクコントロールを前提にした発症予防ではなく、疾病発症後の処置という考えから脱却していないのでは。
・ショルツ先生の臨床への取り組みは、多くの示唆を私たちに与えていただきました。ただ、熊谷先生が常におっしゃっている「歯科医療を国民にとって有益なものに変革しよう」というようなエネルギーや情熱を、現在のショルツ先生からあまり感じることができなかったのが残念です(あくまでも個人的な感想)。
・Dr.キムヘの「日本のメタボリックシンドロームのような、重大な疾患が生じる前の予防への取り組みはドイツにあるか?」との質問に対し、「人の生活習慣を変えるのは非常に難しい、症状が出てから投薬や治療をおこなうことが簡単にできるのでそのような取り組みはドイツにおいてなされていない。」との回答でした。→生活習慣に多くを依存するう蝕や歯周病に対しても同じスタンスなのでしょうか? 行った診療行ためにに対する報酬という保険制度の下ではしょうがないのか? それを変えないといけないという危機意識は感じられませんでした。
・ものづくりに対する職人的なこだわりは、シロナ、ポルシェ、ベンツを見学して半端でないものを感じました。その点では日本に近い親しみを感じました。
・同じ目的と意識を共有したオーラルフィジシャン認証医院の先生方と、たくさんお互いの熱い思いを語り合うことができました。その時間が今回の研修においてもっとも有益だったと思います。自分の向かう方向に間違いがないことを再認識し、明日からの臨床にぶれることなくまい進していきたいと思います。
・リスクコントロール、リスクアセスメントを念頭に置いたオーラルフィジシャン認証医院は、ドイツの現状の歯科医療を凌駕していると思います。ただし日本国民がどこの歯科医院を受診しても、有益な歯科医療を受けられるかといえばそうではありません。われわれと同じ取り組みをできる医院が、日本の歯科において多数を占めるような未来を創るのが必須だと思います。
二度目のドイツ研修旅行である。前回は成田での滑走路事故という思わぬハプニングから始まった旅だった。しかし、今回は我々の到着前日までの洪水騒ぎがまるで嘘のような晴天続きの日々だった。
さて、本題である。
海外研修の素晴らしいところは名門大学で実際に講義を受けられることだと思う。今回はドイツ最古のハイデルベルク大学で講義を受けた。なかでも歯周病学のキム教授(女性)の講義はとても印象深いものだった。というのは講義の後の引きも切らない質疑に対して的確にかつフレンドリーに応えてくれたからである。ただ頭がいいだけではない人間性、皆がもっとこの先生に学びたいと思ったのではないだろうか。
シロナのドイツ本社にも訪問し工場を見学することができた。撮影禁止のお達しの中、工場内へ入ってみるとそこは意外にも手作り感満載の職人芸の場であった。もっとオートメーション化されているかと思ったが、さすがはマイスターの国である。
今回特筆すべきは、我らoral physician側から5人がドイツの地でプレゼンを行ったことである。斎藤先生を始めとしてMTMを中心テーマに据え、そのベーシックやエビデンス、医院の発展性そして地域への影響、またインプラントへの適応と連携の取れたリレーのような各々見事な発表だった。
IHCFのDr.シュルツに講評を頂きドイツの歯科事情の話も聴けたが、ドイツのメインテナンス(保険制度下で年2回)より日本のMTMを基盤としたメインテナンスの方が質的に上であると感じた。決して驕りではなく、我々の信じたシステムを突き進むことが大事と再認識した。
最後に。
海外研修に行っていつも思うことだが、外国での一次情報に接することもさることながら何よりもoral physician仲間との出会いが刺激となる。同じ志を持つ仲間と一緒に食べて飲んで勉強して、そして熱く語るこれにつきる。いつまでもこの熱気に包まれて・・・。
成田空港で、加藤先生が熊谷先生から託されたメッセージを読まれました。日本の歯科医療を本当の意味で国民にとって有益なものに変革しようと取り組んでいる歯科医師の代表として… 身が引き締まる思いでした。熊谷先生には、視座を磨く素晴らしい機会を与えていただき、本当に感謝しております。
昨年参加させていただいたマルメ研修が、「予防」というインパクトがあまりに強かったせいか、その点に関してむしろ日本は素晴らしいと感じました。日本の外から日本を見て、少なくともオーラルフィジシャンのphilosophyを学ぶ機会を得た私は、とても幸せであると感じました。なによりも一緒に学んだオーラルフィジシャンの先生方のプレゼンを聴き、哲学、技術共に患者さんのための歯科医療に取り組まれている姿勢に感銘を受けました。
ハイデルベルク大学のペリオ教授Dr.Medは、インプラント治療には高い予知性が必要であり、保存が困難と思われる歯を早々に抜歯し、インプラントを施すような処置が長期に安定するのは難しいことを述べられた。そして何よりも「まずは天然歯ありき」の立場をとることが重要であることを繰り返された。
20年前インプラントの成功率は85%だったが、今は97~98%だそうである。しかしながら、インプラント周囲炎に対する治療法は確立されておらず、重篤なペリオの天然歯であっても、まずは歯の温存を考えるべきであり、そのうえで、欠損補綴が必要になった時には、予知性の高いインプラント治療は有効であると話された。Emdogainを用いた歯周組織再生は、合併症がなく、審美的に歯肉退縮が少ないため、予後良好である。GTRメンブレンに比べ、今は歯周組織の再生も十分可能ではあるので、よい歯周病の専門医にめぐりあえばインプラントと同等に歯を保存できるが、多くの歯科医がそのレベルを持ってはいないのが現実のようである。
Dr.A Welkの講義は、私には一番興味深いものだった。
ドイツでは8000万人の人口のうち、年間で1000万本の歯が抜かれているという現実があり、すべての欠損にインプラントを行えばよいという問題ではないと話された。やはり、インプラント周囲炎や周囲粘膜炎が合併症として問題視されているからである。The Molar Life cycleについて述べられ、再治療を避ける必要性を話された。Fの局所作用により、虫歯の状況が変化しており、隠れたカリエスが増加しているため、DMFTだけでカリエスが減少していると判断してはいけないとのこと。
私の臨床でも、中高生の隣接面カリエスが多くみられ、歯面清掃、フロス使用、食事指導、フッ化物使用等を徹底し、カリエス進行をいかに遅くするかに努めてはいますが、どこまでくい止められているのか自信がありません。エナメル質に限局したカリエスの進行は、思っているよりも遅いことを昨年のマルメ研修で学びましたが、エナメル象牙境を超えると急速に進むことも学びました。それでも避けられない隣接面カリエスについて、どうやって充填を避ければよいのか、いつどの段階で充填に踏み切ればいいのか… 若い彼らの治療は、The Molar Life cycleが頭をよぎり、つい慎重になるため、結果、レントゲン評価ではつい過小評価になっているように感じています。そこで、Iconのお話がありました。まさにHeal and Sealのconceptです。希塩酸を用い、虫歯を除去し、特殊な樹脂で歯を強化することができるということなので、調べてみたいと思います。
Dr.シュルツの講演は、PDTに関するものでした。フォトダイナミックセラピーは光線力学療法で、内科的歯周療法でありながら、歯周外科と大差ない結果を残しており、バイオジュルをポケット内に投与し、光照射することで除菌できる新たな治療手段として有効であるそうです。
私は、多くの先生方との出会いに感謝しております。横山先生や川原先生と、早朝、哲学の道をお散歩したのもとてもよい思い出です。ガイドさんのmotokoさんが、上顎にインプラントをいれたお蔭でなんでも食べられるし、3か月ごとの検診は、先生との約束だから、自分の歯を維持していくために必ず行っていると話してくれました。「私はよい先生に巡り合ったの」という彼女の言葉が印象に残りました。
研修時間を離れれば、時間を気にすることもなく、ゆっくりと一人で考える時間をたくさん持つことができました。今は医科歯科連携の必要性が求められている時代です。こうやって新たな情報が入ると、自分の不勉強さを反省するとともに、歯科は医科の上に立つ分野であると感じます。私たちは、将来起こりうるであろう問題点を推察し、正しい診断をして適切な処理ができないといけません。インプラントは「夢の治療法だ」とは思いますが、だからといって、自分の歯に勝るわけではありません。結果としての対処法に翻弄されるのでなく、なぜこうなっているのかをきちんと考察していきたいですし、やはり、予防に勝る治療はないと感じました。日吉歯科のシステムを模倣しても、私には同じことはできません。しかし、自分の技量の中で、一本でも、一秒でも患者さんの歯を残せる歯科医になることが自分に与えられた仕事と思い、今後の仕事をしていきたいと思いました。
知っている先生がほとんどいないので、実は不安な思いでの参加でしたが、皆さんに良くしていただき、楽しい時間を過ごすことができ、感謝しております。
この研修に参加させてもらえたことで、オーラルフィジシャンの取り組みを継続的にされている全国の先生とお会い、お話しすることができ、取り組みをつつけていくことの苦労や、それを経ることで得られる自信の一端を教えていただき、こういう体験ができて、大変うれしく思っています。
私はオーラルフィジシャン育成セミナーをこの4月に卒業したばかりで、まだ、医院のシステムも改善の余地だらけですが、多くの先輩の通ってこられた道があることを知り、今後つまずいても教えてもらえる先生方がたくさんおられることを実感し、自分もこれから頑張ろうという気になって帰国致しました。
ドイツでは予防は、話をしても収入にならないので普及していない。歯科衛生士という職業も国家資格ではないという話を、キム先生の講義の中で聞き、日本もそうですが、
行政が予防の方向にシフトしないとその国全体には、なかなか普及しないな、と感じました。
一方、スウェーデンの一部の地方ではリスクによって保険金額がかわるという仕組みが取りいれられている、と旅行中に教えてもらいました。そうなると住民も予防に取り組むだろうし、システムとして医療従事者も従うので予防が定着するのも必然のように思います。
行政ぐるみで予防の方向に動くと地域全体が変わる仕組みができるので、効率的で良いと思いました。
日吉歯科に加えて、全国のいくつもの医院で良質のデータがあり、予防処置によって患者利益につながることが、より明確に示せれば、歯科医の意識、患者さんの意識を変えることができ、ひいては行政も動かせる日が日本に来ることは可能じゃないかと感じました。
是非、自分もその一翼となることを目標に、はじめの一歩からの歩みを継続していきたいと思っております。
昨年オーラルフィジシャン育成セミナーを終了し、初めてオーラルフィジシャン海外研修に参加させていただきました。
今まで日本に閉じこもっていて、あまり海外に目を向けることのなかった私にとってこのような海外研修はとても魅力的なものでした。
特に印象に残ったのは、こうして海外にまで勉強に来られる先生方の熱心な姿でした。ハイデルベルグ大学での講義では、予定が狂ってしまうほど質問が飛び交い、いきなり圧倒されてしまいました。またその先生方の日本での取り組みについての発表を聞くこともでき、オーラルフィジシャンの先輩方がすばらしい診療室を作られ、しっかり結果を出されている様子を勉強できたことも、大きな成果であったと思います。まだまだ自分はやらなければならないことがたくさんあると痛感させられました。
今回の研修は、毎日毎日よいお天気で、とても幸運な旅行でした。
この研修で、得たものは、同じ志を持つ多くの先生方と出会い、親しくなれたこと。ドイツの歯科の事情が解ったこと、新たな知識を得たこと、ドイツの素敵な風景の中で、のんびりしてリフレッシュ出来たこと、です。
オーラルフィジシャンの先生方とは、話していてとても楽です。同じ価値観を持っているからだと思います。悩みや、今後のこと何でも話せます。先生方のお話を聞いていて、またこれからも患者さんの為に、さらに病院のキャパシティを大きくし、設備を充実させたいと思う様になりました。また、女性の私としては、女性の参加者の方々といっぱいお話ができたこともとても嬉しかったし、非常に楽しかったです。
Kim先生はとても正直にドイツの歯科事情やプライベートオフィスでの診療について教えていただきました。歯科衛生士がいないことは残念ですが、診療に関しては、とても解りやすかったです。
シロナの工場を見て、丁寧に作っていることが解り、信頼出来ると思いました。
多くの方にお世話になった研修でした。
また皆さんとご一緒したいです。
ボストン研修では、グローバルスタンダードな診療を知り、世界の歯科医療を見る眼を開かせていただきました。東京・ヒューストン・オマハの研修はとてもボリュームある研修でした。予防歯科のメッカ、マルメで予防の哲学と実践を学ばせていただいた事は、私の歯科医院の、また日本の国の歯科医療のこれからのやるべき事の方向付けと実際の臨床の大きな進化をさせていただきました。そして、このたびの、2013年6月2日〜6月7日「オーラルフィジシャン ドイツ研修」でも、大きな成果を上げることができました。
ドイツ ハイデルベルク大学 歯周病学のKim教授の、歯周病のレクチャーとドイツの歯科医療の現状のお話(国の管理体制がしっかりしている、歯科医師は60から70%が女性、最近アラブからのメディカルツーリズムが増えて来たなど)はとても興味深いものでした。5年から10年後の日本の歯科医療の形を示唆するものと感じました。
シロナ社(シーメンス社の歯科部門の会社で、世界で初めて医療用のレントゲンを開発した会社であり、ほたるだ歯科医院で導入しているCTの会社)の見学では、ドイツのマイスター制度の実践を肌で感じさせていただきました。クリーンな環境で機械化され、システム化された工場で、最後は人の手で仕上げとチェックがされていました。これにより、低被爆量で安全、安定した信頼のおけるCT、レントゲンシステムがわれわれの歯科医院では使えているのだなと実感しました。
ケルン大学リッター先生のCTのガイドラインのレクチャーは、エビデンスベースでの撮影、診断の基準を学び、明日からの診断、診療に役立つ講演でした。
グライフスバルト大学アレクサンダーウエルク教授のレクチャーでは、Drill&FillからHeal&Sealのための、FOTI法による、E1,E2レベルでの正しい診断、ICONによる治療の実際など、興味深い内容でした。
日本の予防歯科のトップランナーである先生方のプレゼンは、予防歯科の取り組み、実践、結果、展望をうかがい、われわれの歯科医院の今後の予防歯科の精度アップの指標とさせていただきたいと思います。
最後に開業医のシュルツ先生は、10年ほど前に「ドイツに見る歯科医院経営の未来形 デンタルエクセレンス」という本を読んで以来興味を持っていましたが、その先生の予防歯科の哲学、実際の臨床のレクチャーを聞くことができて有意義な時間を過ごす事ができました。
今回のオーラルフィジシャン ドイツ研修では、佐々木英夫先生、斎藤直之先生はじめ、日本の予防歯科を代表する先生方と、ともに講義を聴き、また、朝、昼、夕の食事でご一緒させていただき、貴重なお話を聞くことができたのは、何よりの成果と思います。
今回のドイツ研修での経験を心の糧にしてこれからも患者さん中心に、患者さんの利益を最優先する診療を続け、地域医療に貢献し続けたいと思います。もう一つ、20年来のメインテナンス患者さんで、ドイツに転勤なさった新井さんご家族が、フランクフルト空港に往復5時間かけて逢いに来て下さった事は、とてもうれしく、感動し、心あたたまる思い出になりました。ありがとうございます。
日々のあわただしい日常を離れ、ドイツの地でオーラルフィジシャンの方々と一緒に研修を受け、一緒に過ごさせていただいたことで多くのことを得ることができました。
高名なドイツの講師の先生の講演はもちろん、ご一緒させていただいたオーラルフィジシャンの先生方との何気ない会話から得ることが多かったです、本当にありがとうございました。
特に印象に残った内容
◆ハイデルベルグ大学のキム教授
インプラント周囲炎の進行を止めることのむずかしさをデータとともに講義していただき、普段の臨床の中で感じている天然歯の大切さをあらためて確認できました。
また、抗生剤を応用したフルマウス ディスインフェクションの臨床、ドイツでの衛生士の資格や仕事内容など多くの質問にお答えいただき、新たな視点を得ることができました。
◆シロナドイツ本社見学
マイスター精神あふれる工場と、最終的な手作業をとても大切にしていることに驚きました。
◆ケルン大学 リッター先生
CTによる診断の大きな可能性を学ぶと同時に、従来のデンタル撮影のほうが適応な場合もあり、最適で最小限なレントゲンの使用方法について整理ができました。
◆グライフスバルト大学アレクサンダーウェルク教授
「Drill and Fill」から「Heal and Seal」へ
そのために必要なカリエス探知ツールや新しいシール材「ICON」を紹介いただきました。カリエス探知ツールについて「カリエスがあるかどうかではなく、カリエスの進行の様子や、予防の効果を確認したい」という考え方を学ぶことができました。
佐々木英夫先生・斎藤直之先生をはじめご一緒させていただいたオーラルフィジシャンの先生方から多くのことを学びました。メモの一部を抜粋いたします、
◆東日本大震災の次の月、震災の影響が大きかった地域で、多くのメインテナンスの患者さんが来院され、患者さんのメインテナンスの優先順位の高さを感じた
◆MTMに基づいた診療を長期で行い、成人の方の歯内治療の多い口腔内を見ていると、自然に小児のカリエス予防への情熱がわく
◆歯科医院にとって小児のノンカリエスの多いことは、ホンダにとってのF1と同じで、歯科医院の誇りである。
◆アポイントの中のメインテナンスの比率を指標として医療の質を上げる試みを行っている
等など、他では決して聞くことができないダイヤモンドのようなお話を聞かせていただきました。
10年ほど前にドイツに見る歯科医院経営の未来形(デンタルエクセレンス)の本を読んでから、日本の歯科医療制度と似ていて、しかも少し先を行っているドイツ歯科医療制度に非常に興味がありました。
現地でドイツにおける保険制度の変化を知り、実感することで、未来の歯科医療を考えるための大切な材料を得て、ハイクオリティーな歯科医療を少しでも多くの方に提供する方法について考えることができました。
楽しかったドイツ研修に参加させて頂きありがとうございました。
今回、「自院は、どうしたらもっと成長できて、質の高い診療ができるのか?」を考え参加しました。ドイツに行って感じたことは、ハイデルベルク大学もシロナドイツ本社も5Sがあたり前でゆきとどいていました。やはり、スウェーデンと同じで、むだなものがなく整った空間でした。
さらに、どちらも天井が高く広々とゆったりと静かな環境でした。意外だったことは、歯科衛生士の養成をしていない事でした。国情の違いとはいえ、まさかドイツ(医療先進国)で? という思いでした。自院では、歯科衛生士の存在なくしては診療が成り立たない日常であり、予防処置では、かけがえのない存在で、信頼するパートナーです。でも、帰国してみると認識に温度差を感じています。受講後のこの思いをどうチームに伝え、実践していくかです。
今回セミナーを受講して、小児のカリエスフリー率を確実にあげられる診療室になりたい。と強く思いました。具体的には、歯牙を削るか削らないかの明確な基準、CARIESCAN PROによるう蝕検知、う蝕リスクのカリオグラム評価、エナメル質のREPAIR Crodont治療症例は、とても興味深かった。さらに、現在自院の検証はなされていないが、自院の診療評価(来院患者数、メインテナンス患者数の推移/純初診患者の推移(男女比/年齢分布)/歯周病進行度の推移/年齢別1人平均DMFT/カリエスフリー率/1人平均現在歯数の比較(定期メインテナンス患者)/1人平均喪失歯数(定期メインテナンス患者)/定期メインテナンス率、不定期メインテナンス率。メインテナンス患者数の推移)etc.データ収集、解析、評価が必須である。
発表された先生方は、わくわく診療が楽しそうである。この評価が得られるようになれば、わくわく診療が楽しくなりそうである。と感じました。同行された先生方の貴重なお話やお考えも伺え、日々実践されている先生方のお言葉が心に響きました。明日からまた進みます。