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昨年の1月、厚生労働省と経済産業省が相次いで今までグレーゾーンとされてきた歯科の予防メインテナンスについて健康保険ではカバーできないと明言した。
本来、ドイツのように歯を守るメインテナンスが保険適用で、治療になったら高額な治療費がかかるという国の制度であれば意識せずとも国民に予防の意識は芽生えるはずだが、今の日本の現状においてそれは叶わぬ夢である。
しかし、このような状況下でもなるべく多くの国民に自身の口腔内の健康の価値観をあげてもらい、老人になったときに歯を失い後悔しないように我々歯科医療従事者が口腔の健康観をあげるような患者教育を行っていくべきである。
今回のカンブリア宮殿では、予防・メインテナンスの大切さが視聴者にも分かりやすく伝えられており、かつ日本の医療保険制度の矛盾点にも踏み込んだ内容であった。
日本では治療費が安すぎるために、お手軽に歯医者に通い、削られ、数年後に問題が起こればまた歯科に通う。そのサイクルを繰り返していては結局歯科に通う時間もお金も無駄になり、何より大切な歯を失ってしまうことになる。 そのような日本の常識から脱却し、若いうちから口腔内の健康に対する価値観を育てることは非常に重要である。
日吉歯科では小学校での予防の啓蒙にも力を入れており、番組の中で小学6年生が唾液の働きやミュータンス菌のことについても知っていたことには驚いた。
今後自費メインテナンスの波は加速していくだろうが、料金や制度にとらわれず、何よりメインテナンスに通うことが大切なんだと啓蒙することが必要であると感じた。
患者さん自身がメインテナンスに通いたいと思うこと、そしてそう思えるように教育することが歯科医院において必須の課題となる。