SAT 真の患者利益のため予防歯科を中心にした歯科医療へ

SATについて


2018年 新年のごあいさつ

日吉歯科診療所 熊谷 崇

新年あけましておめでとうございます。


皆様方におかれましては新たな決意を胸に秘めて新しい年を迎えられたことと思います。


私が酒田に日吉歯科診療所を開業して昨年で38年目を迎え、私自身は75歳を迎えました。昨年はこれまでのメディアなどの評価に甘んじることなく、歯科医療にイノベーションを起こすべく、今まで以上に基本に忠実に歯科医療に向き合いつつも、常にイノベーションを意識ながら様々な活動をしてまいりました。


既知の事実ではありますが、1981年にアクセルソン先生は「従来の歯科医療ではむし歯と歯周病の進行は防ぐことはできない」と結論づけており、また、アクセルソン先生と日吉歯科診療所のデータによって「メインテナンスによって殆どの歯は守られる」ことは証明されています。下記にそのデータを示させていただきますので、皆様におかれましては、歯科医療の本当の価値について、この事実をもとに、改めて考えていただければ幸いです。私自身としましては下記事項について今まで以上に力を入れていきますので、今年も皆様と共に歩んで行けることを願っております。


◆KEEP28

これまで、オーラルフィジシャンでは、「命の寿命と歯の寿命の逆転」「生涯自分の歯で過ごそう」などの表現で、口腔の健康の価値を患者さんに分かりやすい形で掲げてまいりました。


そんな折、昨年のチームミーティングの“歯科医療の未来 〜世界の歯科医療を通して〜”というパートにて、「KEEP28」という新しいスローガンを初めて公にし、好評を博しております。「KEEP28」は生涯にわたって智歯を除いた28本全ての永久歯を残そうという意味で、「8020」のように年齢を設けていないことも、これから訪れる人生100年時代に相応しい表現であると思っております。下記の日吉歯科の残存歯数の分布からもおわかりのように、「KEEP28」の達成は容易なことではありません。しかしながら、日吉歯科診療所に長年メインテナンスに通われている患者さんの中には80歳を超えても「KEEP28」を達成している患者さんはいらっしゃいます。さらに、40歳代以下でメインテナンスに通われている患者さんたちの半数以上では「KEEP28」を達成しており、今後このような患者さんはさらに増えていくと予想されます。


歯科医療の究極の目標は“「KEEP28」を達成し続け、患者さんに健康で文化的な生活を送り続けてもらう”ことであることを、この新しいスローガンとともに、再度オーラルフィジシャンの方々にはご理解いただきたいと思っております。



◆医と産業の連携

「KEEP28」をより実現可能な目標とするためには、我々歯科医療側だけでなく、一般市民にも口腔の健康の価値を理解していただく必要があると考えております。昨今は一般社会でも予防医療に対する意識は高まってきており、健康に対する改革が飛躍的に進んでおります。


こういった流れを受け、企業単位でも口腔の健康の価値を理解していただくようになり、「健康経営」の一環として、社員の健康のために福利厚生として「社員の歯科メインテナンス費用を補助する取り組み」が広がりを見せています。そして、私たちオーラルフィジシャンコースではそれをサポートするための仕組みを構築してまいりました。昨年から費用補助が開始した企業も多くあり、より一層、社会全体に口腔の健康の価値が波及し、福利厚生によるメインテナンス費用の補助が拡大することが想定されます。


企業側はこれまで以上にメインテナンスの受け皿となる歯科医院をオーラルフィジシャンに求めています。皆様にはOP医院としての基本に立ち返っていただき、また、このような取り組みを深くご理解いただくための再教育プログラムとしてのセミナーを、3月11日(日)に都内にて開催することが決定しております。

「学び直すオーラルフィジシャンセミナー」と「医と産業の連携講演会」:2018/03/11(日)


◆クラウドサービス

私たちはこういった企業との連携や、メインテナンスの自費化を通じて歯科医療の価値の向上を図って参りました。それらの取り組みの一環として富士通と共同で開発してきたクラウドサービスによる患者さんへの情報提供は、昨年より本格的に動き始め、多くのオーラルフィジシャン医院に導入されていることと思います。日吉歯科診療所では、実際に患者さんに口腔内写真、レントゲン、リスクアセスメントの結果などを提供するだけでなく、患者さんに適した個別のアドバイス等も合わせてお渡しをすることにより、これまで以上に口腔の健康の価値を患者さんにご理解いただいております。

また、サンスターのGUM PLAYとクラウドサービスを連携させることにより、患者さんのホームケアの向上を図る取り組みも始まっております。昨年12月25日に本サービスの記者会見を行い、67社81名のマスコミの方々がいらして、大きな反響を呼んでおります。

CommunicationGear〜クラウド新サービス

富士通〜プレスリリース


昨年同様、富士通と共同でクラウドサービスの説明会を開催する予定ですので、こちらもご案内をお待ちいただければと思います。


◆オーラルフィジシャンセミナー

これまで日吉歯科診療所では、真の患者利益を提供できる世界水準の歯科医療の在り方について様々なセミナーを開催してまいりました。今後は、下記のような全体像を描きながらセミナーを運営してまいります。
SAT事務局やコミュニケーションギアの代表の伊藤日出男さんがオーラルフィジシャンセミナーを受けられた感想が下記URLページに載っておりますのでご覧になって下さい。

10年ぶりの熊谷崇先生セミナー所感


①若い歯科医師のためのOP育成セミナー(PreOP)

これまで若い歯科医師・歯科衛生士・学生を対象としたPreOPを3月と8月に日吉歯科にて開催してきましたが、より多くの方にオーラルフィジシャンの在り方を知っていただくべく、東京と福岡でも開催することが決定いたしました。また、PreOP参加者やOP医院の勤務医を対象としたPreOP実践編というセミナーも日吉歯科にて開催をする予定となっております。


(1)PreOP(酒田)

2018年3月24日(土),25日(日)、8月25日(土),26日(日)【満席】

2019年3月16日(土),17日(日)【満席】、8月24日(土),25日(日)

若い歯科医師のためのオーラルフィジシャン育成セミナー


(2)PreOP(東京)

2018年6月17日(日)・10月28日(日)


(3)PreOP(福岡)

2018年7月15日(日)


(4)PreOP実践編(酒田)


②オーラルフィジシャンチームミーティング

今年のチームミーティングは10月6日(土),7日(日)に開催致します。今年も魅力的なプログラムをご用意しておりますので、多くの方にご参加いただきたいと思っております。

オーラルフィジシャンチームミーティング


③オーラルフィジシャン歯科衛生士アドバンスセミナー

患者さんからはクラウドサービスについて非常にご好評をいただいておりますが、多くの歯科医院では、導入したものの、上手く使いこなせない等の感想が出ております。そこで、昨年アドバンスセミナーと題し、メインテナンスの価値を高めるためのセミナーを開催し、好評を博しました。第2回の開催が4月7日(土),8日(日)に決まりましたので、参加をご希望の方はお早目の応募をお勧めいたします。

オーラルフィジシャン歯科衛生士アドバンスセミナー


④マルメ大学歯科衛生士によるベーシック歯周治療セミナー

「KEEP28」を達成するためには歯科衛生士の力量は非常に大きな部分を担っていることは既知の事実ですが、各医院で歯科衛生士の教育に苦慮されていることが診療所へのアンケートで浮かび上がってきました。そこで、マルメ大学協力の下、スウェーデンの教育者による歯周病の臨床に特化したセミナーを昨年より開催し、好評を博しております。第3回までは既に募集が終了しておりますが、第4回は若干の空席がございますので、参加をご希望の方はお早めの応募をお勧めいたします。

マルメ大学歯科衛生士によるベーシック歯周治療セミナー

活動報告


◆コミュニケーション・ギア

昨年、私たちの取り組みをさらに推進していくために、“社会と予防歯科をつなぐ”をコンセプトに「コミュニケーション・ギア」というWebサイト(http://www.c-gear.net)を立ち上げました。コミュニケーション・ギアでは、治療とメインテナンスの質に対する責任と自信を、患者さんに対して可視化できる診療情報として提供できる歯科医院同士をネットワークし、患者さんにご紹介することを目的として立ち上げる運びとなりました。


コミュニケーション・ギア

◆酒田から世界へ

昨年のチームミーティングでもありましたように、我々オーラルフィジシャンの取り組みが世界から評価されるようになってきております。


チームミーティングにご登壇いただいたイギリス歯科医師会の前会長のウィルソン先生は下記論文にて、今後の歯科医療の価値について触れられています。

Nature.com:Holistic care should be coming your way

日本語訳(翻訳:西 真紀子先生(アイルランド・コーク大学))


同じくご登壇いただいた渋谷健司先生はウィルソン先生のこの論文に対して「酒田モデル」と題して日吉歯科の取り組みに関する論文を書かれています。

Japan’s holistic approach to oral health: The Sakata model

日本語訳(翻訳:西 真紀子先生(アイルランド・コーク大学))


また、タイの2大学では学生教育でMTMを取り入れることが決定しており、昨年はタイにて私たちの取り組みについて講演をして参りました。私たちの取り組みは、国際的にも高く評価をされ始め、日本から世界に向けて医療モデルを輸出する段階に入ってきたことを実感しております。





これまでも日吉歯科診療所は、多くの企業・歯科医院にサポートしていただきながら歩んで参りました。今後も「KEEP28」を究極の目標とし、患者さんの健康に寄与できる診療所作りに邁進していく所存です。


最後になりましたが、今年も皆様のご活躍とご健康を心よりお祈りいたしております。


日吉歯科診療所 熊谷崇


補記:

「KEEP28」は株式会社湖池屋のデザインを担当されている株式会社スクリューの清水一人さんにご提案いただきました。ここに感謝の意を表します。