SAT 真の患者利益のため予防歯科を中心にした歯科医療へ

SATとは、真に患者利益を追求した歯科医院運営を目指し、これからの歯科医院の世界標準を構築し実践するプロジェクトです。

活動報告


2009年 ドイツ研修


1.プログラム
2.写真
3.熊谷感想

4.参加者の感想

太田貴志 斎藤直之 佐々木英夫 齋藤洋子 長谷川須美 大貫佳鼓
早乙女雅彦 川原博雄 佐藤大志 高橋周一 江間誠二 古市彰吾
井上敬介 晝間康明 晝間直未 福田健二 柴田幹彦
五十嵐三彦 古賀勝博 永森司 篠塚嘉昭



2009年3月23~3月29日 オーラルフィジシャン アドバンスコース ドイツ研修
Advancing Dental Health, オーラルフィジシャン Course in Houston March 23-29, 2009.

◆「2009 オーラルフィジシャン海外研修 ドイツツアー」 プログラム

ドイツツアー スケジュールPDF

32rd International Dental Show 2007 概要PDF

月日(曜) 地名 現地
時間
交通機関 行程 食事
3月23日
(月)
東京(成田)発
フランクフルト空港着
フランクフルト空港発
ベルリン(テーゲル)空港着
10:30
14:15
15:40
16:45
LH711
 
LH182
専用車
空路、ドイツへ
※フランクフルト経由便

着後、バスにてホテルへ

<ベルリン泊>
昼:機内
夕:〇
3月24日
(火)
ベルリン
 
 
 
 
 
 
 

ベルリン(テーゲル空港発)
ケルン・ボン空港着

デュッセルドルフ
午前
09:00
 
 
14:00
16:00
17:30
18:30

19:55
21:00


専用車
 
 
 
 
 


 
 
LH282
チェックアウト後、ホテル出発
ベルリン大学にて講義
Implantology/Galileos の講義
ドイツ歯科大学の教育の現状
ベルリン市内観光
市内:KU64分院訪問
KU64 本院訪問

 
空路ケルンへ
 
 

<デュッセルドルフ泊>
朝:○
昼:各自
夕:〇
3月25日
(水)
デュッセルドルフ
ケルン
 
 
 
 
 
 
ケルン
 
09:00
 
 
 
 
15:00
 
夕刻
 
専用車
 
 
 
 
 
 
 
専用車
ホテル出発
ケルン大学にて講義
講内見学
円錐光線法基礎技術と補綴に関する講義
インプラント学
歯周病学における3Dイメージの応用
ケルン市内観光・ショッピング



<デュッセルドルフ泊>
朝:○
昼:各自
夕:〇
3月26日
(木)
デュッセルドルフ

ケルン



デュッセルドルフ
09:00

終日
専用車



バスにてホテル出発

33rd International Dental Show
(会場内にて昼食)


<デュッセルドルフ泊>
朝:○
昼:各自
夕:〇
3月27日
(金)
デュッセルドルフ

ケルン



デュッセルドルフ
09:00

終日

専用車



バスにてホテル出発

33rd International Dental Show
(会場内にて昼食)

夕食
<デュッセルドルフ泊>
朝:○
昼:各自
夕:〇
3月28日
(土)
デュッセルドルフ



フランクフルト空港着
フランクフルト空港発
7:00


10:15
11:55
13:30

専用車




LH710
朝食後、ホテルチェックアウト
バスにてホテル出発 フランクフルトへ

フランクフルト空港到着
空路、日本へ
<機中泊>
朝:○
昼:空港にて
夕:機内
3月29日
(日)
東京(成田)着 08:30   日本着
朝:機内


ドイツ研修2009ドイツ研修2009
ドイツ研修2009ドイツ研修2009 IDS

画像提供 シロナデンタルシステムズ(株)





◆「2009 オーラルフィジシャン海外研修 ドイツツアー」 画像


集合写真

画像をクリックすると大きい画像がでます






◆2009年オーラルフィジシャン海外研修プログラム

ドイツ研修を終えて
(医)日吉歯科診療所 熊谷 崇

 オーラルフィジシャン海外研修も第4回目を迎え、今回はドイツ研修セミナーを施行することが出来ました。出発当日の早朝に起きた貨物機の事故の余波によって、出発空港や出発時間の大幅な変更などを受け入れざるを得ませんでしたが、参加者の皆様のご理解と多くの関係者の方々のご尽力によって、現地で予定していた日程をほぼ変更すること無く消化できたことを心から感謝しています。有難うございました。
 さて、今回のドイツ訪問は、私にとって5回目の訪問でした。最初に訪れたのは1988年。クインテッセンスの国際学会にスピーカーの一人として招かれた時でした。ベルリンの壁崩壊の前年で、ベルリンの壁を見学した時は、旅行者の私たちもどこかぴりぴりとした緊張した空気を感じたものでした。
 2度目は、1996年。今は亡きブラッタール先生が南ドイツで開催されたIHCFの幹部会に呼んで下さった時です。当時のドイツは東西ドイツが併合したために、東西ドイツの経済格差の問題やそれによる国家経済の危機によってドイツの医療も大きな変革を迫られていました。つまり、医療費の大幅な削減を迫られた政府は、歯科医療システムの改革を断行したのです。それまでのドイツは日本と同じように治療優先の歯科医療を容認していたのですが、それでは医療費がいくらあっても足りないとの判断から、そのシステムを北欧型に大きく変換しました。18歳までの子供たちに対しては予防的な取り組みをベースに医療費を全額負担するかわりに、それ以降の年齢の歯科診療については個人の負担が大幅に増加するという大胆な変革でした。ドイツは日本と違い歯科衛生士制度も無く、予防についてのノウハウもほとんどない状態での軌道修正でしたので、当然のことながら大きな混乱があったようです。
 しかしその後、従来型の歯科医療を守り続ける歯科医師が多い中、IHCFの支援などをうけた診療所が、歯科助手を自前で歯科衛生士業務を行えるようにトレーニングするなどの努力によって、予防型の診療所が成功を収める事例も多くなってきていました。また、一方では、従来型の歯科医療の延長線上で歯科医療を発展させるべく、インプラントを前面に押し出した診療スタイルで業績を上げている診療所もあります。歯科医療改革から約10年を経過して、ドイツの歯科医療は大きな変貌を遂げつつあることが理解できます。このことは、日本の少し未来を想像させるような経過でもあるような気がしますので、今後の日本の歯科医療の展望において参考になることも多いかもしれません。
 しかし、決定的に異なるのは、どちらにしても歯科医療を行うための教育や歯科医療環境のレベルが残念ながら日本よりも確立されている点です。医療が医療として成り立っている文化や土壌がしっかりしていると言ってもよいでしょう。そのような理解の中で、KU64という様々な最新設備とマネージメントでドイツの先端を走る歯科診療所の見学や、IHCFのメンバーでもあるDr.Reichのいわばドイツ流オーラルフィジシャンとしての臨床をベースにした講演は私たちに「歯科医療とは、、」という根本的な命題を改めて考えさせる機会となったように思います。日本は日本に合ったやり方で、歯科医療が患者さんの利益となるような歯科医療の方向性を見つけていかなくてはなりません。私はこれまでもドイツを訪れるたびに様々な診療所を見てきましたが、やはりドイツでも活気があり患者さんからの支持の高い診療所は予防をベースにした診療所で、働いているスタッフのモチベーションも高いように思いました。
 そのような意味で、米国だけではなく、北欧だけではなく、それぞれの地域性や文化や政治を背景にした歯科医療のあり方を自分の目で見るチャンスは、私たちが日本でオーラルフィジシャンとしての土台を築くにあたって、これまでとはまた違った目線で考えるよい機会になったのではないかと考えます。今回のドイツでの経験からも、これから成功する歯科診療所は、予防をベースにした基本的な歯科診療がスムーズに行われて患者さんの評価も高い診療所の上に、専門性の高い分野が積み上げられてより高度な歯科医療を提供できるような形ではないかと確信しました。

 大学における研修では、シロナのガリレオスに代表される歯科用コーンビームCTの詳しい原理やその臨床応用について学ぶことが出来ました。これまで、レントゲンによる映像は3次元のものを2次元でしか見ることが出来なかったために、確定的な診断が出来ないはがゆさを感じることもたびたびでした。しかし、これからの画像診断はしだいにCTにその主役の座を譲るであろうことを確信しましたし、CTがなければ安全で適切な歯周治療、歯内療法、矯正治療、インプラントの施術は不可能であろうと感じるほどでした。今後の画像診断は、これまでのデンタルとパノラマから、デンタルとCTの時代へと確実に変わるであろうことを意識づけられたような気がします。
 また、ケルンのデンタルショーの見学もよい経験になりました。世界的な不況とはいえ、あの熱気あふれる会場の活気に触れると、歯科医療の未来が必ずしも悲観的なものではないことを感じ、大変嬉しく思いました。残念だったのは、歯科医療の最先端では歯科の材料や設備の開発が進み、その結果歯科医療のシステムまでが大きく変わろうとしている時代がすでに到来しているにも関わらず、多くのそうした先端の機材を私たち臨床医が日本において今すぐ手にすることが出来ないジレンマを抱えていることです。日本の薬事法の壁がいつも私たちから世界の先端医療に距離を作っている現実に不満が残ります。行政の迅速で適切な対応を得ることは出来ないものなのでしょうか。

 今回も多くの関係者の皆様に本当にお世話になりました。この研修セミナーを全面バックアップして下さったシロナデンタルシステムズの皆様、特にドイツ本社社長のフィッシャーさん、日本現地法人社長の栗城さんには多くのご配慮をいただき感謝しております。また、いつも的確な通訳で言語の壁を越えさせてくれる岩上早苗さん、不測の事態を乗り越えて、旅程のサポートをして下さったJTB添乗員の笹岡さん、本当に有難うございました。 





参加者の感想

ドイツ研修を終えて

太田貴志

 オーラルフィジシャン海外研修も、ボストン、Marumö、ヒューストンそして今回のドイツ研修と、それぞれ、異なる文化を背景に展開される歯科医療に触れ、大きな刺激と興奮を伴う貴重な経験をすることが出来ました。いずれの国においても、歯科医療の主体は患者さんであり、その利益に第一義的な優先順位を確保されている点が明確に感じられました。そして日本の歯科医療の現状と対比して見ると、そこには大きな乖離があり多くの問題点が有ることは否定でない事実として明らかになりました。
 コンピュータテクノロジーの近年の進歩はめまぐるしく、歯科界においても例外ではありません。発展途上とはいえチェアーサイドでCBCTの画像をリアルタイムで使えるという、その進化の速さに、驚嘆すると同時に、さらなる期待に胸がふくらんで来ます。
 私たちは長年にわたって、規格性のある資料収集することを仕事のベースとして構築して、それらをもとに、様々な情報を専門家として提供してきました。規格性のある正確な資料は、正確な診断を導き、その資料と治療結果を収集・集積し分析することで、診療室を訪れる人たちの疾病構造の把握や、診療室の総合力の再評価に役立ててきました。当然そこには、診断に似合う技術的なスキルが要求され、継続的な技術的研鑽も行って来ました。
 そしてさらにCBCTを始めとした診査器材の高度化に伴って、より多くの情報を得ることが出来るようになれば、なおさらその診断にも幅広い知識と経験が要求されるであろうし、当然のことながら、高度なテクノロジーと、科を超えた専門医との連携も必要になってくるでしょう。それこそ、オーラルフィジシャンの力量が試される事になるとおもいます。
しかし、同時に、プラークコントロールの考え方が180度転換して、全く別の概念に変化していかない限りは、最も基本的な、日常のメインテナンス業務を確実に遂行する事もますます重要に考えて行かなくてはなりません。
幸運にも最終日にPro.Elmer Reichi先生の講演を聴くことができました。ブラッタール先生が所属されていたIHCFのメンバーであれば当然のこととは思いますが、私たちが日本で展開している歯科医療が、同じ形で国の異なるドイツで行われていることを目の当たりにして大きな感銘を受けました。それが又
自信に繋がりました。
 最後に、今回の研修を企画していただいた、熊谷崇先生、そしてお世話になった宮本貴成先生、岩上早苗さん、そして大きなバックアップをいただいたsironaに大きな感謝を申し上げます。

オーラルフィジシャンドイツ研修に参加して

斎藤直之

 私にとって、ボストン、マルメ、ヒューストンに続く、4回目の海外研修となった。それぞれの研修にそれぞれの意味合い、目的があり、オーラルフィジシャンとしてこれからの診療所づくりをしていくために今回も大きな意味があったと思う。
 今回は、シロナの全面的な協力もあり、歯科医療における3Dイメージについての紹介、学術的背景、使用応用の実践例等のセミナーをベルリン大学、ケルン大学で受けることができた。私たちは、歯科医療の目標である、人々が生涯健全な機能を全うすることを実現すべく努力している。予防、メインテナンスをベースにメディカルトリートメントモデルに沿って治療を行い、より多くの患者さん継続的なメインテナンスを受けていただけるような診療室づくりをしてきた。その健康を守り育てる診療室のクオリティを少しでも上げていくために研修を続けている。患者利益になる診療室を目指すために常に先端の技術にも目を向けていなければならないと感じることができた。
 また、今回の研修の後半で、IDS2009を見学できたことは大きな刺激になった。規模の大きさ、参加者の多さ、参加企業の勢い、いずれも日本で経験したデンタルショーとは大きく違っていたように感じる。日本において歯科は苦しい状況におかれている感が強いが、世界に目を向けると決してそんなことはない。とても勢いがあり明るい未来が広がっている。そんな感じを持った。歯科に求められていることはたくさんある。患者利益を求めた歯科医療とは何か。それを実践するためには何をすればいいのか。どのような体制、チームを組んでいけばいいのか。そして本当の歯科医療の価値をどのように市民に伝えていけばいいのか。そんな私たちの求めることに対する答えがたくさんあったように思う。
 最後のレクチャーとして、IDSの会場の会議室で、Dr.Reichによるドイツの歯科事情と実践されている診療を教えていただいた。IHCFのメンバーで予防をベースに臨床を展開されている。私たちの実践していることと共通している部分が多くとても共感できた。
 今回、ケルン大学で私たちのグループの紹介をする機会をいただいたこと、Dr.Reichのプレゼンを聴いたことを通して、ワールドスタンダードの診療室づくりをこれまでしてきたが、それは確実に前進してきているなと感じた。そして、今回のような機会があれば、自分たちの実践していることをいろんな国の歯科関係者と積極的にコミュにケーションを取っていきたいと強く感じた。
 IDS2009の熱気、同行した仲間たち熱気、そんな中でとても大きな刺激をひしひしと受けることができた。そして、院長が健康を守り育てる診療室への投資、人材への投資をする。真の患者利益を実現できる。質の高い歯科医療を提供できる。市民が自分たちに取って歯科医療の大切さを理解できる。市民が歯科医療に対し投資する。診療室の質が上がる。そんな、プラスのスパイラルが描けるはずだと感じることができた。今回は、常に世界に目を向けることの大切さが実感できたように思う。

 今回の素晴らしい体験を企画していただいた、熊谷先生本当にありがとうございました。また、いろんな形でサポートしていただいたシロナの栗木さん、渡辺さん、通訳の岩上さん、添乗員の笹岡さん、そして、熱い仲間のみなさん本当にありがとうございました。思いっきり理想の歯科医療の実現に挑戦できることをほんとうに幸せに思います。素晴らしい研修でした。

オーラルフィジシャン 海外研修 in ドイツ

佐々木英夫

3/23(月)~3/29(日) ドイツにて、これからの歯科医療について研修してきました。
ヨーロッパの中でも日本が手本としたドイツの保険制度のあり方や、ドイツの歯科医療の現状をみることができました。

保険制度と民間保険が融合することによって、質の高い歯科医療を提供できていることに驚き、今後の日本の歯科医療の進む方向性を教えて頂いたように思います。

専門医の概念が乏しい日本では、個人開業医がすべての歯科医療をカバーしなければいけませんが、このことが質の高い医療を提供できない一因と感じます。今後は専門分野(予防、メインテナンス)をはっきりさせて、診療に取り組まなければいけないと感じました。

今回ドイツでも開業医を見学させて頂きました。 KU64という診療グループの診療室を2カ所見学できました。診療室はすべて個室でかなり広くきれいで、患者さんの視点にたった診療室に作られていました。これぞワールドスタンダード!デザインは奇抜でしたが、見習う所もたくさんありました。特に経営に関するマネージメントがしっかりできていることに驚きました。

研修では、ベルリン大学、 ケルン大学にて講義を受けました。
ケルン大学での講義では、ボン大学の教授の方々にも来て頂き、 3D CBCT(コーンビームCT)の講義を受けました。
特にインプラントの手術に関しては、専門医の診断が重要であることが確認できました。講師陣には、とても熱心にレクチャーをしていただきました。

研修と同時期に開催されていた第33回世界デンタルショーにも参加できました。

さすがに世界のデンタルショー、日本のデンタルショーの5倍以上の規模で開催されていて、すべてを見ることが出来ませんでしたが、歯科医療の最先端技術と最新機材をたっぷり見ることが出来ました。

歯科医療の進歩は目覚ましいものがあります。今後当院に導入するものを決めてきました。

研修の最終日には、 I.H.C.Fのボードメンバーでもある、Dr.Reichによる「ドイツの歯科事情の発展」について貴重な講演をして頂きました。

ドイツの歯科事情は日本と良く似ていることがわかりました。
予防、メインテナンスをおこなうことがもっとも大きなミニマムインタベーションであること。生涯にわたる健康を考え、歯を削らない歯科医療の実践が国民の健康にもっとも貢献できることを実感できました。

今回の研修では、日本に良く似たドイツの歯科医療の現状を見ることが出来、今後私たちが進む方向性が見えたように思います。ありがとうございました。

2009年オーラルフィジシャン 海外研修 in ドイツに参加して

齋藤洋子

 マルメ研修につづき二度目の海外研修に参加させていただきました。
今回は講義だけではなく、ケルンでおこなわれている国際デンタルショーを 見学することもできました。
 ベルリン大学では、大学病院の見学の後、歯科医療での3Dイメージの講義 があり、午後から実際に臨床で使っている診療所を見学しました。裏づけするための正確な資料の必要性そしてそのことが、患者さんとのよりよいコミュニ ケーションや強い信頼関係を作るのだと感じました。
また診療所のいたるところに患者さんが快適な時間を過ごすための色々な工夫がされており参考にしたいところがたくさんありました。
 ケルン大学では、3Dイメージを日常臨床に応用している数多くの活用例の紹介がありました。
 国際デンタルショーは、2年に一度ケルンで開催されているそうですが、はじめは来場している人の多さと、熱気に圧倒されてしまいました。各ブースでは説明をしたり、聞いたりと最先端の情報を得るために様々なところから来場した人たちが熱心に話を聞いている姿が印象的でした。すべてがすぐ日本に入ってきて使えるものではないのでしょうが、それらを直に見て試してみたり話を聞いたりしたことがとても貴重な経験でした。
 最後にケルンで開業されているDr.Reichによる講義がありましたが、同じような考えの元で、診療されている様子を聞き、力をいただいたきがします。
 健全な歯に、健全な体が伴うという話がありました。このことも含めて患者さんにより深い理解得られるようにしなければならないと思いました。
 今回院長と一諸に研修を受けましたが、おたがい共通のイメージを持てたということはとても良かったと思います。
 熊谷先生、シロナの栗城社長、そしてスタッフの皆さんありがとうございました。

ドイツ研修感想

東京都日野市 長谷川歯科クリニック 長谷川須美

今回もドイツにおけるオーラルフィジシャン海外研修につれてきて頂き、ありがとうございました。貴重な経験をさせていただき熊谷先生はじめ開催にご尽力下さったすべての方々に感謝しております。
4日目にELMAR REICH先生のお話をうかがいドイツの歯科事情が人口10万人あたり79人の歯科医という世界トップクラスの歯科医師密度であり、よりよい労働条件を求め、他国に移動する傾向があること、また女性歯科医師の割合が高いことをしり驚きました。また日本同様虫歯治療の割合が減少し、高齢化と共に残存歯数も増え根面カリエス増加の問題を述べられました。
先生は健康は人生の中で思春期、ストレス、食生活、加齢等の因子により変化していくため、包括的に診断していくことが大切であり医科と連携をとる必要があることを話されました。また、歯科衛生士を使ったリコールを核とし、統一性のある検査、治療、予防を一つの診療体系として確立していくことが患者さんのためでもあり、歯科医のマネージメントとしても大事であると話されました。12歳までの裂溝ウ蝕は、コントロールしやすいが、それ以降の隣接面ウ蝕が44.3%も発症し診査診断のみのがしも含めコントロールの難しさを話されました。
また、治療として①PMTC②CHX+スーパーフロス③GC TOOTHMOUSSEを行っているそうで、特に②のCHXをシリンジでおいていきスーパーフロスにて余剰なものは除去し同時に縁下にも入れていく方法は臨床でも使えると思いました。
先生のお話は熊谷先生のお考えと同様の内容で、日本の現状を思えばドイツの歯科事情を学ぶことはとてもためになりました。
IDSの会場にはインプラントの展示が多くテクニック、マテリアルの進歩により補綴治療の第一選択になりつつあるのかなと感じました。私はインプラントの経験がなく、おそらく今後もないと思いますが、予防同様、治療もバランスよく学ばなければいけないため、今回の研修はインプラントについて沢山の知識を与えてくれました。20年前勤務医の頃急患で来院された患者さんの口腔内でインプラントを初めて見ました。多額のお金を支払い口腔内でひどく動揺し急性症状の原因となっているインプラントをみてひどくがっかりした思い出があります。そしてなんとなくインプラントはやらないと決めてしまいました。歯科事情が厳しくなっていく中で収入になるという安易な考えでインプラントが埋入され沢山の患者さんが不自由な思いをしている現状は歯科医として悲しいものがあります。二次元画像であるパノラマのみでは埋入手術を行うには十分な情報は得られません。今回シロナのCBCTを見させて頂き撮影領域が小さいため被爆量も少なく、また医療事故の回避につながる下顎管、おとがい孔との距離の確認、水平的な骨量等の解剖学的形態の診査の技術に驚くと同時にこれらのデータの読影がきちんと行われなければインプラントは行うべきではないと痛感しました。
骨密度の問題はあるかと思いますが、スキャン→Plan→Plillと1つのシステムで可能であり視野の確保しにくい手術部位にあってバーチャルで、計画が確認できるのはすばらしいシステムだと思いました。まさにインプラントには理想的なツールだと思います。
しかし、欠損補綴を行う上で、PD、FD、ブリッジ、移植等の選択肢があり、利点欠点を考慮した上での選択であるべきであり、なぜこのような欠損が起こったのかの原因を考えなければ(口腔環境をかえなければ)治療とはいえません。また、GPとしてインプラント治療を必要としない時代にするために何をすべきかと考えるのが私たちの使命だと思います。私はどこにでもいるGPです。セレックシステムもすばらしいとは思いますが、高度な治療のみに目を奪われることなく、本来人と人と信頼関係の上になりたつ医療を忘れないでいようと思います。出発はトラブルから始まりドイツに到着できるのかと不安でしたが、沢山勉強させていただき感謝にたえません。またオーラルフィジシャンとしてがんばりたいと思います。

ドイツ研修を終えて

大貫佳鼓

1 熱意を試された初日

 無事に研修が終えられたこと、熊谷先生を始め関係者の皆様に深くお礼申しあげます。
熊谷先生の研修会では熱意を試す試練に恵まれるジンクスがあるとは聞いていましたが、実体験した思い出深い研修となりました。初日早朝、飛行機炎上による滑走路閉鎖、研修をご一緒させていただいた福田先生は宿泊していたホテルの窓から異常な量の煙が見え、すぐに異常を感じたそうです。私も空港に一番近いホテルに滞在していましたが全く気付かず後から知り、驚きました。集合後待合室が用意されて5時間30分経過、14時過ぎにやっと成田空港をバスで移動開始、ルフトハンザ航空は夜中の2時に名古屋セントレア空港から独国フランクフルトへ向けて離陸しました。この時間のロスから講習が1日キャンセルになる可能性がありましたが、熊谷先生の、「我々は勉強に行くのだからギリギリまで受講の調整を」との一声により、また関係者皆様のご尽力により行程は2日目には修正されました。
 → 熱意なく熊谷先生の研修には参加できない

2 ベルリンに到着

 ベルリン空港で食べた朝食代わりのホットドックはとっても美味しかったです(用意してくださった方々ありがとうございました)。ベルリンでの宿泊ホテルと観光はなくなりましたが、そのことはモチベーションをあげるきっかけになったかもしれません。2日間の長い移動後の講習は、有り難く聴講することが出来ました。
ベルリン大学の病院ではペストに備え個室化出来るように設計されたという建造物が何とも印象的でした。歯学部は昨年でなくなってしまったそうで、残念でした。CBCTの理論だった講義はとてもわかりやすく身近に感じることが出来ました。
歯科医院見学先のKU64は医療と経営戦略の融合された歯科医院というものを見させていただきました。最新の技術が取り入れられているだけでなく、空間を楽しむ工夫が凝らされていました。  → 歯科医療も経営戦略が必要

3 ケルン大学とビール

 ケルン大学では病院見学、CBCTの臨床例紹介、CBCTとCAD/CAMとの融合、ボン大学との共同研究という内容を主に、そしてこのような開発が何故進んできたのかというドイツの歯科事情や教育プログラムを学びました。
Neugebauer先生はいかにもドイツの口腔外科という雰囲気が漂い、歴史あるユニットが置かれ、天窓より自然の日光を調光に上手く取り入れられた講堂は学生のように心弾む空間でした。夕方は美味しい地ビールを頂きました、ドイツビールは美味しい!マイスターの心を頂きました。
 → 歯科医療にもこのマイスター精神が基盤にある

4 ケルンメッセにて

 ケルンメッセで開催されたIDSはひたすら大きく、どこから回っていくのが良いのかも困惑するほどで、まずはビールを飲みながら落ち着いて計画を立ててしまいました。IDSでもブース内でお酒も楽しめ、ディスカッションしやすい空間が多く用意されています。お酒を飲みながら話をする場がある一方、ライブオペをしているブースもありと、とにかく賑わっているIDSでした。感じたことは、どうやらここでも、「日本の常識は世界に通用するとは限らない」ということです。各ブースの大きさは歯科医療界の情勢も表すのでしょうが、日本のデンタルショーででは小さいブースのメーカーが世界では逆だったりする事もあるようでした。
 現在ドイツでは政府の財政緊縮政策の一環として歯科医療保険の支払制度が大きく変化し、治療内容ごとの支払いから治療単位ごとの支払いへと変化したため歯科医療の中味は問わない状況が生まれやすくなったと聞いています。ドイツの歯科医療技術の発展は手厚い保健医療制度にも守られていたと聞いていますが、国が医療を保護しなくなったということはどういう状況になるのか。日本の未来においても同様のことが起こりうるならば、この研修には多くのヒントを得たと考えています。
 → 歯科医療の質は医療従事者から発信する

5 人に恵まれること

ケルンメッセを出たバスの中で熊谷先生よりメッセージが皆にありました
1 ドイツで何故インプラントが盛んになっているのか
2 企業と大学の共同開発によって生まれた機械が今後どのように発展していくのか
3 我々は予防ベースから専門性へ発展していくものであること
足下をみつめて、足りないところは吸収していく歯科医療従事者であれとのエールをいただいたと解釈しています。 我々の近未来を示しているもの、日吉歯科型の歯科医院がドイツにもあったこと、日常のヒントとなったこと、この研修に参加したことの意味はこれからはっきりと認識していくと感じています。オーラルフィジシャンの海外研修のもう一つの魅力は人に恵まれることです。素晴らしい先生方が多く、これからも何とか皆さんについていきたい思いです。

お世話になった皆様本当にありがとうございました。

オーラルフィジシャンドイツ研修感想文

早乙女雅彦

今回のオーラルフィジシャンドイツ研修は私にとってヒューストンに続き2回目の海外研修となりましたが今回も前回同様大変有意義な研修となりました。
出発直前に成田空港でのフェデックス機の着陸失敗炎上というアクシンデントに遭遇し滑走路が閉鎖になり、名古屋空港まで5時間かけてバスでの移動、そして翌日の午前2時出発し、ドイツに着いたのが朝5時という今までに経験したことのない日程で、さらに休む間もなくベルリン大学チャリティ病院での講義という強行日程で始まり、はたしてついていけるのか、体調を維持できるのか大変心配でしたが、なんとか無事に研修を終了することができました。
今回はシロナの協力により講義はCBCT(ガリレオス)に関しての講義がメインでした。ベルリン大学での講義では、CBCTがCTの中で最も被曝線量の少ないものであることや、インプラントを中心として埋伏歯、上顎洞、顎関節、矯正、のう胞等の診断への臨床例を示していただきました。また、初日の講義後はベルリン市内のKU64分院、本院の見学をさせていただきましたが、分院は顎顔面外科の専門医院として日帰りの全麻手術を中心に診療を行っておりドクター・ウェグナーより実際にガリレオスを使用しての説明がありました。また、本院は近未来的な診療室で、マーケティングマネージャーがおり、医院のウェブサイトの管理や各種パンフレットの作成、患者様を呼んでのパーティー等、常に集客(患)を図る努力がなされているようでした。
2日目はケルン大学にてCBCTを用いたインプラントの治療計画、オーグメンテイションのプランニング等の講義が顎顔面外科のノゲイバウアー教授よりあり、午後はボン大学の先生方によるCBCTの歯周病への応用に関する講義がありました。もはやCTは口腔外科やインプラントにとどまらず歯科の種々の分野で活用される時代が来ていることを実感しました。
26日(木)と27日(金)はIDS見学。世界最大のデンタルショーと聞いていましたが日本で行われるデンタルショーとは規模が違い、4日間で10万人が集まるようで、4か所あるフロアはどこも人で埋まり、この状況をみると近年の世界の歯科業界は決して低迷しているわけではなく、日本だけが低迷しているのかと思われるほどの盛況ぶりでした。 また最先端の歯科材料、器材が展示されており、とても興味のあるものがいくつかみられました。特にシロナブースは中でも最も大きなもので、華やかさがあり夕方にはアルコールのサービスもあり日本では考えられないようなデンタルショーでした。
27日(金)午後には会場内のセミナールームにてReich先生からのドイツ歯科事情について、ドイツの人口動態と歯科医の現状から予防を中心とした歯科医院経営についての講義を聞きました。将来的には残存歯が増加することにより、成人~老人でのハイクオリティなCr治療が増えるであろう、また高齢者のペリオ治療が増加し、義歯の治療は減少するだろうということで、これらのことを踏まえたうえで、歯科医は内科的な視点での患者へのアプローチが必要でありチームとして患者に対応するなど予防を中心とした歯科医療が必要であると説明があり、私達オーラルフィジシャンとかなり共通する部分があり、共感することができました。
また、今回のドイツでのセミナーを受け、私自身としての課題もいくつかみつけることができました。1つは近い将来オルソパントモに代わって放射線的診断としてCTが一般歯科医院にも導入されることになるだろうと思われますが、CTに対する知識がまだまだ乏しく、今日のセミナーだけでは当然不十分であり、CTの理論等基礎的な事がら、臨床応用にいたるまでより深く学ばなければならないと感じました。
もう1つは(今までは思いも及ばなかったCTのような機器が医院に導入される時代になり)ワールドスタンダードな歯科医院とは設備と予防だけワールドスタンダードで良いのか?ということです。熊谷先生もおっしゃるように、治療に介入した場合はできるだけ質の良い治療を行う必要があると感じました。はたして当院にそれだけのものがあるかどうか少し不安です。今はまだ組織作りに精一杯ですが質のことも考えなければと感じました。最後に熊谷先生はじめ今回のドイツセミナーを企画・支援いただいた日吉歯科診療所やシロナ等関係方々にお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

ドイツ研修を終えて

川原博雄

 マルメ研修、ヒューストン研修に引き続いてのドイツ研修でした。マルメでは、診療哲学を学び、ヒューストンでは診療所の在り方を学びました。このドイツでは、オーラルフィジシャンとしての在り方を再確認することができました。
 ベルリン大学、ケルン大学での講義やケルンメッセでのIDSでは、近未来のインプラント治療の隆盛とこれからのCBCTの大いなる可能性、世界の歯科医療ビジネスの盛況を感じ、日本にいては知る由もない世界歯科事情を知ることができました。その中にあって、少子高齢化が進み、口腔の健康状況が進んでいるドイツにおいて、歯科医療ビジネスは、インプラント全盛の中にありながら、患者利益を提供できる診療所であり続けるためには予防をベースにした診療所が最も効率的である。と話されたReich先生の講演は、とても興味深い内容でした。
 今回のドイツ研修に参加でき、とても素晴らしい経験ができました。そして、この研修を企画運営していただいた熊谷先生、シロナ関係者の皆様、宮本先生、大竹さん、ドイツの先生方、JTBの笹岡さん、サポートしていただいたすべての方に、そしてともに参加し思いを共有できた仲間たちに深く感謝いたします。ありがとうございました。

ドイツ研修に参加して

エクセレント歯科クリニック 佐藤大志

まずは、ドイツ研修が無事に終えれたことに感謝します。
今回の海外研修は、ボストン卒後研修についで2回目の参加です。
約3年前に一緒にボストンに行った先生方と久しぶりの再会に喜んだのも束の間、成田空港で思わぬトラブルがあり、中部国際空港への移動から国内脱出まで本当に苦労しました。 このことは他の先生方も感想に述べているでしょうから割愛いたします。

ボストンへの卒後研修に行った当時は、私はインプラントのことについては余り経験がなく、自身によるインプラント埋入手術はしたことがありませんでした。しかし、この3年間の間、ボストンでの研修を活かし、後に東京のインプラント専門医の下で修行し、ようやく自分の医院で200本を超えるインプラントを埋入することができました。
今回、ドイツ研修でベルリン大学、ケルン大学、ボン大学の講義を受けることにより、CB(コンビーム)CTの有効性を再認識しました。
インプラントにとってCTは切っても切り離せない診断ツールであるため、今後は世界の潮流にのり、こういったCT画像が臨床医の間で需要が高まることでしょう。この講義によって、最先端の診査・診断ツールを知ることが出来て、自分にとって大変ためになりました。将来的に、自身の医院でも取り入れ、より多くの患者様に安全なインプラントを提供していきたいと思います。

研修3日目、4日目は、IDS(インターナショナルデンタルショー)に参加いたしました。
国内外の歯科材料に関する企業が多く展示会に参加しており、今まで見たことがなかった海外の企業の展示物を見ることができました。日本の企業を1とすると、海外の企業は10といったところでしょう。これだけ魅力的なものがありながらも、現在では海外の企業の多くは日本の薬事を通すことに時間を要すため、日本進出が困難な状態であることはとても残念だと思います。
いつかは薬事法が変わり、こういった海外の素晴らしい技術やアイデアを取り入れることをより容易に出来る時代になってもらいたいものです。

今回、オーラルフィジシャン海外研修ということで、ドイツを訪れましたが、その中でもIDSは特に参加してみたいイベントであり、しかも2年に1度ケルンで行われるということで、再び学べることを楽しみにしています。

今後も、この海外研修で学んだことを活かし、これからの歯科医療に役立てていきたいと思います。

ベルリン大学、ケルン大学、ボン大学の先生方、同行された先生方、研修を企画・コーディネイトして下さった関係各社の方々には心から感謝しております。

ドイツは最高に良かったです。

オーラルフィジシャン 海外研修 in ドイツ

レミントン歯科 高橋 周一

3月23日 待ちに待ったドイツ研修への出発の朝、5時に起き最終準備のチェックを終え、これから始まる旅に思いをめぐらせつつ、暫くはこの風呂ともお別れだなと湯船に浸っていた。
6時、足早に駅に向かう途中で重大な忘れ物に気づく・・・昨日買っておいたインスタントの味噌汁を忘れている・・がしかしここで引き返しては間に合わないかもしれない・・・何とかなるだろうと後ろ髪を惹かれる思いで電車に乗り新宿へ、成田エクスプレスの時間には20分も前に到着し再び味噌汁が頭をよぎる。しかし何かあったら時間に間に合わない、電車の事故や故障などで遅れが出るのはよくある話だ。ISOの導入により不測の事態に対する構えが身につくようになっているのでより安全に行動するようになっているのだ。成田エクスプレスで向かう7時30分、妻より携帯電話にメールが入る。(成田空港で貨物飛行機が炎上している)とのこと。そうか炎上か。でも成田に向かうには影響はないな、集合時間には充分に間に合う。・・やや寝不足の感もあり事態の変化に反応していなかった。
がしかし悪夢はすでにはじまっていた。
成田空港に到着後にメンバーの顔を見つつ期待に胸を膨らませて少し浮き足だつ自分がいたが、その後次から次へと寄せられる情報に浮いていた足も地面に着き、さらには腰砕け状態になっていくのであった。
貨物機の炎上により第一滑走路の使用不可能、我々の飛行機も飛び立てない、しかし何とか予定されるベルリン大学での講義には出席したい。関係者の努力の結果、チャーターしたバスで名古屋空港まで行き、夜中の2時過ぎにフランクフルトに向け出発するという腰が痛くなるような実行案が決定された。そのときすでに11時を過ぎていたような気がする。
本来ならばドイツに向けて旅立っている時間に、唯一我々を和ませてくれたのはテレビで見ていたWBCの野球であった。その後2時過ぎにバスで成田を出発、7時間後に名古屋空港に到着、チェックインに1時間かかり、すでに私の腰はだるい痛みを訴えていた。そして予定通り午前2時に旅立ったのであった。
その間のさまざまな思いは他のメンバーのレポートに譲ることとするが、国際空港である成田空港のふがいなさに改めて落胆したのは言うまでもない。

フランクフルト空港からさらに国内線に乗り継ぎベルリン空港へそしてそのままベルリン大学へ向かった。すでに時間の感覚は飛んでしまっており現地時刻にあわせた時計の時刻と、成田での騒動のときに熊谷先生が『旅行に行くのではないのだから、講義に出席することを第一にスケジュールを調整しなおして下さい』との言葉に支えられてふらつく体を (長時間にわたるバス、狭いエコノミーの飛行機の中での睡眠で首、肩、腰に影響をうけていた。こうなるとビジネスのほうが良かったと悔やまれる)立て直して講義に臨んだのであった。熊谷先生よりも一回り以上若いのに情けない話ではある。
さて肝心のベルリン大学ではガリバー旅行記の巨人のように大きい(身長は2m靴のサイズは35cmはあるかと思うほど)
Dr.Christian Scheifele 先生によりベルリン大学の歴史と概要の説明、(ヨーロッパでも有数の古い歴史と広さを誇るとのこと)を受けた後、大学病院の一部を見学させていただいた。どこもかしこも実に質素、装飾や無駄な物はほとんど見受けられず、必要最低限のしっかりした創りという感じである。
アメリカやスゥエーデンで見た大学の風景とは一味違うドイツのイメージを認識した。 その後、シロナのガリレオス=コンビームCTを中心とした3Dイメージの歴史、口腔外科及びインプラント治療からのクリニカルケースとその示唆という題目での講義が行われた。私の医院では歯科医療用CTに関しては外部に依頼していることもあり基本的な事もよくわかっていなかったが、今回の研修では多少なりとも理解が深まり、CTのこれからの可能性についても期待が持てるようになった。
特にインプラント治療の必要性の増加に伴い、必須の検査項目になりつつあるため、充分な理解が必要と感じた。
 時間が押していることもあり質問の時間を惜しみながらも次の予定であるベルリン市内の診療所 KU64の分院の見学へ、途中バスの中からベルリン市内観光をしたのだが約20年前に東西ドイツの壁が崩壊してからの移り変わりを少しずつ残しながら街が変わっていく様を見ることができた。あいにく時間的な余裕がなくゆっくりとはいかなかったが 戦争の時代の悲劇をかすかに頭に思い浮かべつつ小雨の降る街中を旧西ドイツ~東ドイツへと行き来しながら病院にたどり着いた。
 KU64はベルリンでも、もっとも最新的なスタイルで診療システムを構築している病院である。マネージメントにかなりの力を注いでおりドイツでもかなり注目されているとのこと。分院では顎顔面外科医の Dr Wegner先生による診療室の案内とガリレオスCTによる実際の映像画面を症例を用いて説明していただいた。ここでも時間に余裕がなく先生の患者様をお待たせしつつ説明をしていただき申し訳なく思ってしまった。
KU64のロゴが入った様々なグッヅをお土産に少し頂き我々は本院見学へと向かう。
本院は日本で言えば銀座のど真ん中ともいえる立地にあり、それはそれは斬新なデザインと色使いによる医院であった。受付には患者さんへのウエルカムドリンクとしてのエスプレッソなどのコーヒーメーカーやジュース、ミネラルウヲーターなどの用意があり、ゆったりと座れるデザインされたソファ、数か国語で作られたパンフレットが何種類も用意されており細かい配慮がなされているようであった。(かなりの額の設備投資をしている)診療室もかなり広く清潔で個室によるプライバシーへの配慮は完全であった。
スタッフの勤務体制もユニークでフルタイム(12時間通しの勤務)が3~4日続いた翌週は1週間休み?など、いろいろな工夫がされているとの事。実際の経営的な部分の詳細は解らないが常に改善努力の継続をしているように見受けられ、ドイツでも厳しい歯科開業医の競争の中で評価を受けている事実はよく理解できた。
その後ベルリン・テーゲル空港に向かい飛行機でケルン・ボン空港へ、日本を出発してから移動移動の連続でほとんどゆっくりしていない、風呂はおろかシャワーも浴びず、まともな食事もしていない状態のまま我々はやっとホテルに到着したのであった。

その夜は
  バスタブにお湯を張りゆっくりとした後、うつらうつら数時間ずつ目を覚ますも、
翌朝早めの6時半から朝食をすませ2日目の講義を受けにケルン大学に向かう。
ここではケルン大学、ボン大学との共同レクチャーを受講した。
ケルン大学内の診療室も見学させていただいたがやはり質素であることには変わりはなかった。公的な病院はどこでも同じような感じらしい。
ここでの講義も一貫してコンビームCTを主体とした研究の成果と臨床応用の説明であり、 主にインプラント治療に対する必要性やサージカルガイド・ステントへの有効性が協調されていた。そのほかにも歯周病の診断への応用や実際の臨床においての利用例が症例を用いて解説されていた。我々からも歯周病、矯正、カリエスの診断などへの応用について多くの質疑応答がなされた。被ばく線量がもっとも少なく、インプラントを主体とした診断には今後日本における導入の必要性も増えていくだろうと実感した。
講義の中でCTにおける診断において、上顎洞には約60%もの炎症が認められるという。 上顎洞の本来の形態においても炎症を起こしやすい場所であるにも関わらずインプラント埋入のために上顎洞の形態を変えることのリスクを感じざるをえなかった。今後5年10年後に何らかの見解が出てくることを期待したい。

この2日の講義においては初日に太田先生、2日目に斉藤先生により我々オーラルフィジシャン としての今までの取り組みや今後の方向性などがわかりやすく英語で発表された。本当によくまとめられており感心してしまうばかりだが同時に自分自身を振り返り反省することしきりであった。

講義の後 夕食までのひと時、小雨の振る中を世界遺産である大聖堂や古い町並みの残る市内を観光した。300百年を超えて完成された大聖堂はさすがに圧巻であり外観もさることながら中のつくりにも宗教観のない私でさえ異文化の歴史の重みを感じつつ感動に浸っていた。
 その夜は久しぶりにゆっくりとした食事をすることになり、ドイツビールを何杯も飲みながら街中で見つけたユニークなお店の話題で笑いの絶えることのないひと時を過ごさせていただき疲れを癒したものでした。

 翌日から2日間にわたりIDS(国際見本市いわゆるデンタルショウ)を見学したが、とにかく規模がでかい、ひろい、人が多い。聞くところによると世界中から歯科関係者が集まってくるとのこと、我々を含めたアジア人も少なからず見かけたがヨーロッパを中心に様々な国の人が集っていた。出展している業者の数も本当に多くとても回りきれるものではない。しかし次から次と見回しながら、その盛況さに現在の日本の歯科業界の寂しさとは比較にならないほど、世界の歯科業界は活況なのだということが充分理解できた。
5時を過ぎると力のある業者のブースではビールを初めとするアルコール類も無料で配られ皆楽しげに会話を重ねていたのがとても印象的でした。日本では最近やっとお茶、コーヒーが出せるようになったとか。あまりの違いにため息が出るほどである。
2日目の午後にはIHCF(International Health Care Fundation)のメンバーである
Dr・Reich先生にドイツ歯科事情の発展についての講義をしていただいた。
我々オーラルフィジシャン とほぼ同じような方向性でドイツの歯科医療のあり方を捕らえ努力されている姿を示され、この研修の最後を締めくくるにはとても良い講義だとほっとしつつ ドイツでも歯科医療を取り巻く厳しい環境が長く続いていること、今もなおそれは変わっていないが確実に変革に向けての努力がなされていることが理解できました。

 最後の夜は日本食での晩餐となりました。日本人の経営するお店だとは思いますが、やはり日本の食事は美味しいです。容姿も日本人のほうが和みます。身長も鼻も低いけれど志と行動力、そして結果を出すことで小さな体を何倍にも大きく見せて、鼻高々でいようと、密かに思った夜でした。
 その後ホテルのロビーでひと時のお酒を飲んでいるとき、斉藤先生の新たな決意を聞かされ、自分としても早くそのステージに上がりたいと心から思った次第です。
意識が高く行動力のある先生方に囲まれるたびに更なる意欲が湧いてくるので嬉しく思っています。

 今回の研修はこれまでの研修とは一味違ったものでした。しかし私にとってはボストン、スゥエーデンとは異なる良い刺激を受け充実した時間を過ごせたと思っています。
どのように優れた機材が出てこようとも、我々の基本的な原点は、生涯健全な歯、健全な口腔内環境を守り続けること、それが当たり前に出来てこそ新しい処置技術や新しい材料、器材も意味を持ってくるのだと改めて再認識しました。
無事に帰国後数日を経てこうしてレポートを書いていると、わずか1週間も経っていない日々が懐かしく思い出されます。いつもの事ながら研修を企画していただいた熊谷先生を初め宮本先生、オーラルケアの大竹社長、通訳の岩上様、今回の研修のバックアップで沢山のご配慮をいただいたシロナの栗城社長、渡辺様、ティンシュマン様及びスタッフの皆様、そして圧倒的な存在感で我々を導いてくださった、JTBの笹岡様、本当にお世話になり、ありがとうございました。
出来ることであればまた次回も参加させていただき、たゆまぬ勉強をしたいと思います。

皆様またそのときにご一緒させてください。がんばりましょう。お元気で。

オーラルフィジシャン 海外研修inドイツ に参加して

江間誠二

 「ウィンドシア」による米フェデックス80便の着陸失敗により、出発時刻が遅れる程度かと思っていましたがまさかこんなに影響を受けようとは・・・。成田空港から名古屋空港まで6時間かけてのバス移動、翌日1時出発という強行軍でしたが、フランクフルトに午前7時に無事着き、予定どおりベルリン大学での講義をうけることができました。
 Dr.Scheifeleが自ら大学病院を案内してくれました。4階建ての建物(高層ではない)が道路を挟んで両側に 7~800m並んでいましたが歴史を感じました。中庭、道路には大きな木がたくさんありこれから春に向かって一斉に芽吹いたら美しいだろうなと思いました。あと待合室や廊下にアラブ系の人が多いのに驚きました。
 講義では3Dイメージの歴史、Galileos開発の経緯の説明を受け、インプラントのために開発されたことを知りました。今秋にCTを購入予定で昨年より各メーカーの説明を聴き、見積もりも取っていました。今回Galileosの臨床応用の講義を受け非常に迷っています。一番の問題は金額です。困りました。どうしたものか・・・。
 Ku64分院の訪問。インプラントに特化した医院というのが第一印象でした。2つの手術室、共用できる準備室 患者の着替え室、回復室(3つのベッド)などインプラント治療をするための最先端のシステムを見ることができました。
 Ku64本院の訪問。ビル自体は目立った色ではありませんが、道路に出してある看板がとてもセンスがよかったのが印象に残っています。医院内部は大胆な色使いで我々が考えつかないような美しい黄色で統一されていました。スタッフの白衣も多種類の色を着ていて当院でも取り入れてみようと思います。また、いたるところに鏡を効果的に使っていて広く感じました。実際に各部屋は20畳以上もありゆったりした感じでした。
 私ごとですが、4月から医院の新築工事(移転)に入ります。設計も決まっていますので残念です。日吉歯科のように改築を行いながら、このような診療所に近づけたらと思いました。
 25日。ケルン大学、ボン大学との共同レクチャー。実際の臨床でGalileosが使われているX-Ray室、手術室を見学させてもらいました。治療室が余裕を持って広くとっていたので、今後はこれくらいの広さが必要であると感じました。患者さんにとっても安心できる、ゆったりした空間は大切だと思いました。
 X線の基本的なこと、Galileosの優位性を聴き、益々迷いは深まるばかりでした。特に3次元X線とCAD/CAMを融合した治療はすばらしいものでした。
 3日目。ケルンメッセ33rd International Dental Showは50カ国より1750社が参加。10万人以上の人が訪れるとのことでした。会場は4つに分かれていて、日本で行われる4年に1度のデンタルショーの5~8倍の規模で全てをみることはできませんでした。
先ずメッセに入ると入り口に大きなシロナの看板があり、シロナの大きさに驚きました。シロナが世界№1の歯科メーカーであることがすぐ解りました。またシロナの社長の歓迎の言葉に感激しました。
ユニットがすばらしく、将来はこのようになるのだなあと思いました。LD化されたヘッドライトは軽く、バッテリーも軽く、使用時に重さを感じさせないようなものでした。エンドメーターでは無線でUSBを使い、パソコンに映し出すものも売られていました。インプラントではノーベルバイオケアのブースでは全て Activeの説明だけでした。日本ではまだスピーディーです。ビックリしました。帰国後ノーベルに電話をし、確認したところ、厚労省の認可を受けていないとのことでした。アメリカのショートインプラント専門のメーカーで球状のフィクスチャーを出しているところがあり興味を持ちました。
4日目。Prot.Dr.Reichによるドイツ歯科事情についての講義がありました。
・ドイツでも少子高齢化が進んでおり歯科医数も47歳をピークに減少傾向にある。
・若年層のカリエスは減少傾向にあるが、見逃されているカリエスもあり、8割のエナメルカリエスをコントロールする必要がある。
・今後は高齢者のカリエスが増加していくと考えている。
教授も現在は開業をしていて、予防を中心とした診療を行っていて、予防に関しては歯科助手を教育してPMTCを行っているとのことでした。
 Dental ShowではCAD/CAMと3次元X-Rayが今後の歯科を変えていくのではないかと強く感じました。
またKU64の見学は衝撃的でした。日本を出て世界を見ることそして世界から日本をみることの大切さを感じました。予防を中心としたカリエスにしない努力こそが世界最新の歯科医療であることがよく解りましたし、今後目指す歯科医療の姿がはっきり自覚できた研修でした。
今回このような企画をしてくださいました熊谷先生と関係者の皆様、シロナの社長と関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。来年のマルメ、再来年のヒューストン参加するために健康、仕事、英語に精進をしてまいります。
今後とも宜しくお願いします。

ドイツ研修を終えて

しおん緑山会 古市歯科医院 古市彰吾

出発の際、飛行機が予定通り飛ばずどうなることかと思いましたが、その後は順調に予定を無事終了することができました。(株)シロナの方々ならびに笹岡様、そして熊谷先生本当にありがとうございました。
1年に1度の非日常を満喫することができました
。 今回の様々な講演は予防医療の提供という観点では、的確な診査・診断をおこなうために何が必要かを考えるよい機会となりました。コンビームCTの有用性は痛いほど分かるのですが、メーカー様にはもう1段のコストダウンをお願いしたいと存じます。
デンタルショーをみて思ったことは、世界には想像以上のメーカーが混在し様々な製品を提供しているのだという点です。日本で開かれるデンタルショーと比較すると我々は、限られたメーカの中からわずかな選択枝しか与えられていないということです。それは、薬事法の問題が大きな壁になっていることは否めないと思います。もっと多くの海外メーカーが参入できる開かれたマーケットになれば、コストダウンの実現も可能なのではないでしょうか。
見るもの聞くものすべてが五感を通じ感性を豊かにしてくれました。そして、アルファー波がでた状態において新しいアイデアがつぎつぎと湧き今後の医院運営にプラスに作用すると思います。
前回の研修旅行においても感じたことですが、医療人としても経営者としても前を行かれている先輩方々との交流のなかで得るものが多大でありました。
チームミーティングにおいても、モチベーションがあがりますよう社員をつれて参加したいと考えております。

オーラルフィジシャン ドイツ研修に参加して

医療法人真稜会 後藤歯科医院 井上敬介

ボストン、マルメに続き、ドイツのオーラルフィジシャン研修に参加して、毎回さまざまなことを学ばせていただきました。ひとつの地域で一つのことだけを学ぶのではなく、さまざまな場所で、それぞれの環境に応じた、すばらしいことを吸収していくこのオーラルフィジシャンの研修スタイルはとてもすばらしいです。目的はただ一つ患者の真の利益のため、ワールドスタンダードの歯科医院作りのため、その信念があるからこそ、それに必要なことは考えをニュートラルにして、さまざまな派閥化した治療方法にとらわれることなく、スムースに吸収していくことができるのであると思います。現に自分自身の勉強スタイルも特定のスタディーグループに属するのではなく、フットワークを軽く広くすることでいいことは素直に聞き入れ取り入れていくという人生を送っています。オーラルフィジシャンの海外研修は、まさにそれにふさわしく、参加する個々の医院の先生方が、ある哲学の中で、それぞれの医院の患者のため研修で得た知識や情報を役立てようと必死である。毎回思うことであるが、目指すゴールが同じメンバーと同じ目的で勉強をするということはとても楽しいことです。メンバーから刺激をもらい研修後はさまざまなアイデアが生まれるこの研修は本当に最高です。

 今回はドイツ、ボストンやマルメとはまた違ったドイツならではの講義や情報を得ることができました。ボストンのようにアメリカの歯科らしい最新の研究結果に基づく最先端の治療やその可能性にわくわくさせられるというものではなく、また、マルメのように北欧らしく予防哲学に感銘を受けるというわけでもなかったのである。大学での研修では特に歯科用コーンビームCTについての詳しい原理や応用について学びました。また、それらの最新の情報をさらにIDS(世界デンタルショー)にて体験することができました。ドイツらしく性能がよくセンスもいいハードの進歩にはとても驚きました。特に3D光学カメラによる光学印象採得、コンピュータによるモニター上での3D画像で設計、ミリングユニットによるセラミックブロックの切削、さらにはそれらの情報をCTのデータと融合させるというシステム、これはもうまさに歯科の革命であると思われる。以前ボストンに行った後に感想を述べたとき、熊谷先生の予防に対する考えは明治維新のようなものであると例えたが、今回は歯科の産業革命かIT革命かというぐらいまったくの変貌をいざ遂げようとしているようである。材料学が進歩している中、100年以上変わることのなかった技工技術やCTなどの診断技術に革新が起きようとしているのである。もう印象材もいらなければ石膏もいらない、もちろんワックスもいらないしワックスアップをする必要もない。それらの情報はすべて自由自在に転送可能な状態であり、地球上どこにいてもさまざまな情報がやり取りでき、自医院の患者のため活用することができるのである。すでに、ドイツに行く一月前に一人のインプラント患者に対してCTによって撮影したものを、コンピューター上で診断計画を立て、情報をドイツに送ること1週間で外科用のテンプレートが完成、その情報を神奈川に送ること1週間でプロビジョナルが完成、愛知県に技工物が郵送され、患者は侵襲の少ない、時間短縮もはかれた、非常に安心で安全な治療を受けることができたのである。このドイツの研修ではそれをさらに確信させてもらえるものとなり、これはもうまさに革命であるとも確信しました。ワールドスタンダードの歯科医院作りのためそれら最新の情報に敏感になり、本当にいい物は取り入れ、患者のため価値のある医療が可能となるよう今後も日々努力して行きたいと思いました。

この度、企画していただきました熊谷先生、また、サポートしていただきましたシロナデンタルシステム株式会社の皆様どうもありがとうございました。

OPセミナー ドイツ研修 感想

ひるま矯正歯科 晝間康明

 私は幸いにもスウェーデンのマルメ大学研修、アメリカ・ヒューストンのマクガイア先生による研修に参加させていただき、続いて今回のドイツ研修にも参加させていただく事が出来ました。
 スウェーデンでは、政策として国民に適切な歯科医療を提供する事で費用対効果の高い健康を維持できる成功例を目の当たりにする事が出来ました。アメリカでは、充分な設備や教育が行われる事で、常に最新かつ質の高い医療を提供できる事が理解できました。ドイツでは、ここ数年で加速するであろう日本の歯科医療の衰退とそこからの回復過程を感じる事が出来ました。

 ドイツは人口8、000万人に対して歯科医師6万人、歯科医師1人あたりの患者数は約1300人、日本は人口12、000万人に対して歯科医師9万人、歯科医師1人あたりの患者数は約1300人と推定され、ドイツと日本の人口対歯科医師数の割合はほぼ同様の状況です。そして、日本はドイツの歯科医療や保険制度を見本にしたので、ドイツも国民皆保険が診療の基本でした。ドイツは日本よりも早期に高齢化社会を迎え、医療費の上昇による皆保険制度の崩壊、保険診療範囲の抑制がおこり、患者数の減少、歯科医院の倒産が相次ぎドイツ歯科医療界は大きな衰退期を迎えました。

 しかし、保険診療範囲の抑制が起きた事により、患者は保険外診療を受ける頻度が増えました。患者は歯科医院により質の高い治療、治療に対するわかりやすい説明、快適かつ清潔な診療環境の要望が高まりました。患者の要望に応えるべく各医院や歯科器材は研究開発を進めた結果、以前よりも質の高い医療の提供が可能となるよう進化した歯科医院の回復および発展につながっていると今回の研修で感じる事が出来ました。

 現在の日本は10年前のドイツとほぼ同じ状況でこれからの日本は高額な補綴物が保険範囲から除外されたり、混合診療が認められ保険外診療の範囲が広がる可能性は高いと予想されます。その際にはドイツと同様に、日本の歯科医院はより質の高い医療を求められる事は自明の理であり、保険診療前提の診療体制から診療の質(真の患者利益)を最優先した歯科医院でなければ衰退していくであろう事を研修やIDSに参加する事でダイレクトに感じる事が出来ました。

 本セミナーのテーマとは異なりますが、今回の研修ではバスの移動が長時間におよび団体行動の時間が大変多く夕食も参加者全員でとる機会が多くありました。
 スウェーデンとアメリカの研修ではスケジュールがタイトであった事や近隣に多数の飲食店が存在した事から、最初と最後の夕食のみ皆さんで集まってお食事をしていました。しかし、今回は、宿泊先周囲に飲食店は少なく毎日受講者全員でバスに乗り夕食に向かいました。
 そのため、夕食やバスの移動時間の講義とは異なるリラックスした状態で齋藤先生や熊谷先生に忌憚の無いお話をじっくり聞けた事が私と妻にとっては大きな収穫になりました。

 齋藤先生には、メンテナンスを中心とした歯科医院としての取り組みについて現実的で具体的な内容を聞かせて頂きました。特に院内ミーティングやスタッフ間の連絡方法、器具をしまうための設備の設計、労務に関する内容などセミナーでは聞けない貴重なお話を聞かせていただく事が出来ました。

 熊谷先生には、開業からこれまでの一貫した診療理念を貫く意志の強さ、それまでに起きた様々な障壁を打開してきた道程、日本の歯科医療を牽引する立場としての気概を聞かせていただく事が出来ました。熊谷先生からは個人的にお叱りも受け「矯正歯科医が20歳までの患者さんのoral phisycianにならなくてどうする!」と言う言葉はホテルに帰ってからも頭の中をグルグルと回り、妻によるとその晩の私は眠っていても「ウ〜ン」とうなっていて寝ていても熊谷先生の言葉を考えいるようだったそうです。翌日のバスの中でも20歳までの患者の口腔内を健康にするために歯科医師はもっと努力しなければならない事、特に20歳までの患者を定期的に診る機会の多い矯正歯科医がその役割を果たす事に適しているとお話して頂けました。熊谷先生のお話は、私の目指す歯科医師像を具現化するための分岐点になると感じました。

 その他にも多くの貴重な経験をさせていただき、これまでの海外研修同様に大変有意義な研修となりました。

 この様な研修を準備していただいた熊谷先生を始めとするスタッフの皆さま本当にありがとうございます。私は20歳までの患者さんの口腔内を守るオーラルフィジシャンと矯正歯科のスペシャリスト、妻は20歳以上の患者さんの口腔内を守るオーラルフィジシャンとGPのスペシャリストを目指して精進します。

OPセミナー ドイツ研修 感想

ひるま矯正歯科 晝間直未

ヒューストンに続き2回目の研修でしたが、今回は出発時のアクシデントもあり忘れられない研修旅行となりました。

 ベルリン大学、ケルン大学では、ドイツの歯科大学の教育システムや、CTを用いたインプラントの診断・歯周病への応用などを教えていただきました。
当院では、まだインプラントは行っていませんが今後CTを用いてこのような診断が出来れば、患者さんに安心してインプラント治療がうけていただけるとことを感じ、また大きな目標ができました。
IDSでは、最新の歯科材料と世界の歯科医の数に圧倒されました。
世界にはこんなに歯科医がいてみんながんばっているということが解りとても刺激になりました。
当院は、矯正治療と一般治療を行っていますが、もっとドクター間スタッフ間で密に連携をとり、熊谷先生にアドバイスをいただいたことを肝に銘じ子供からお年寄りまで一生涯、口腔内の健康が守れるようにそして最高の歯科治療が提供できるように日々鍛錬を続けていきます。
今回も、また新たな課題をたくさんいただいた研修旅行でした。
参加させていただきましたことを熊谷先生ならびにスタップの皆様・一緒に参加されていた先生方に心より感謝いたします。
ありがとうございました。

2009年 オーラルフィジシャン 海外研修 in ドイツ

福田健二

 私は、ボストン大学、マルメ大学、ヒューストン・Dr.マクガイヤーの海外研修に続き、今度で四回目の参加となりましたが、今回は、強烈に記憶に残る研修旅行となりました。
 既に色々な報道でご存知かと思いますが、本研修会出発の当日早朝にあの成田国際空港のジャンボ貨物機の着陸失敗事故が起こったのです。この事故によりジャンボ機の発着専用のA滑走路が閉鎖となり、我々が搭乗予定のルフトハンザ航空機は遥か遠くの名古屋中部国際空港に着陸し、翌日の午前2時に出発変更となりました。
 ここから、最初の研修場であるベルリン大学への地獄の長い、長い旅路が始まりました。
 まずは、成田国際空港からのバスによる名古屋中部国際空港への6時間30分にわたる大移動です。そして、殆どの店が閉店している名古屋中部国際空港で出発予定日の翌日午前2時まで待機し、ようやくの日本からの旅立ちでした。
そして、13時間以上のフライト後、早朝にフランクフルト空港に到着、それから飛行機を乗り換え、約1時間のフライトで午前7時頃ベルリン(テーゲル)空港に到着し、今度は、バスに乗り換えて1日分の行程をスキップしたかたちで無事ベルリン大学に到着し、予定通りの第2日目の日程に間に合いました。
 これはまさに、熊谷先生と今回参加されたオーラルフィジシャンの先生、今回の研修の企画をお手伝いして下さったシロナの関係者、そして旅のお伴をして下さったJTBの笹岡さんの情熱と執念に外ならないと感銘しました。
 さて、それでは今回の研修について触れたいと思います。ベルリン大学とケルン大学の研修では、Corn Beam CTのGalileosに関する講義が中心で、シロナのセレックとGalileosのsystem combineによる補綴的インプラントと外科的インプラントの融合、そして更には歯周病学における応用など、最新情報が満載でした。
 また、診療所の見学では、KU64本院と分院を訪問し、分院ではGalileosの実際の臨床応用について解説を受け、本院では、高級サウナの休憩室を思わせる待合室、オレンジ色で曲面を配した壁、ガラスのセパレートを主体にした診療室に近未来の診療空間を垣間見ました。
 そして、日程後半の2日間は、I D S (ケルン国際歯科見本市)の見学です。
ケルンのKoelnmesseで3/24〜3/28までの5日間に亘り行なわれ、55カ国から1,750社もの出展があり10万人以上の入場者がある世界規模のデンタルショーです。
 会場に一歩踏み入ると、シロナは勿論のこと日本のGC NSK等々たくさんのブースがあり、世界各国の歯科関係者で大混雑しており迷子になってしまいそうな状況で、今日の日本における歯科界の閉塞感は『どこ吹く風』の状態でした。
 とても2日間で回れる規模ではありませんでした。
最後に、熊谷先生も所属するIHCF (International Health Care Foundation)のScientific Board Memberの Prof. Elmar Reich先生による講義があり、私達、オーラルフィジシャン と同じ方向性を持った講義内容に大変感銘を受けました。  折しも、懇親会のときに熊谷先生が述べられていた『 オーラルフィジシャンは予防歯科だけに限局するものではなく、歯科全般に亘る最新の専門的知識も有し、他の専門医とのネットワークを構築し、患者利益に貢献しなければならない.』 というお話に正に合致した研修旅行であったと思います。
 最後になりますが、ケルンでの僅かな時間の市内観光で訪れた世界遺産の大聖堂は、天に向かって二つの塔がそびえたっており、まさに予防を中心とした歯科診療と最新の歯科専門知識習得の2本の柱を象徴しているかのようでした。

ドイツ研修感想文

柴田幹彦

今回初めてオーラルフィジシャンの海外研修に参加させていただきました。さまざまな期待に胸を膨らませ、成田空港に向かったことを今でも鮮明に覚えています。
主な研修プログラムは、①コーンビームCTの基礎と歯科への臨床応用 ②医院見学 ③ドイツの歯科事情について、過去から現在までデータに基づいた解説と今後の予測 ④ケルン国際デンタルショーの視察 でありました。
 どの内容も素晴らしいものであったことは言うまでもありません。チームミーティング等で参加された先生方から是非お話を聞いてみてください。
と同時に、改めて痛感したことは、「口腔の健康を守り育てていくためには、院内に、基礎のしっかりとした土台としてMTMを固めた上で、ワールドスタンダードな視点で、さまざまな専門的な内容も含めた歯科医療について勉強を行なっていくことが重要である」ということです。オーラルフィジシャン研修の基礎が、オーラルフィジシャンの育成セミナーでのMTMの構築だとすれば、その延長にあるワールドスタンダードな質を確保するために必要な研修のひとつが、本海外研修と言い換えるとわかりやすいでしょうか?そんな印象を受けました。
また、同時にワールドスタンダードという視点で考えるのであれば、やはり英語への熟達が必須であるのでしょう。日本語と同じような感覚で使いこなしていけるようになるという新たな至近の目標ができました。
最後に、飛行機事故によりベルリン到着が非常に大変が状況にもかかわらず、悠然と構え、WBCの野球中継に和気あいあいとしながらも、事態の打開を考えられた熊谷先生、シロナの皆さん、通訳に岩上さん、通訳までしてくださった大竹さん、参加された先生方すべての方々に感謝したいと思います。

オーラルフィジシャン 海外研修inドイツについてのレポート

いがらし歯科医院 五十嵐三彦

 行きの飛行機はトラブルがあり、前途多難な予感がしましたが、僕にとってとても今後の展望が開けるとても有意義な研修となりました。
 熊谷先生におかれましては、このようなすばらし研修を企画していただき真にありがとうございました。今後とも末尾ながら後について行きますのでご指導のほど、何卒宜しくお願いいたします。
 ツアー中はいろいろなお話を伺いたかったのですが、開業以前よりその信念、向学心をとても尊敬して、高いも目標としてきまして、雲の上の存在であり、とてもとても緊張してフレンドリーに話すことができなくて申し訳ありませんでした。
 また、この研修ツアーにフォローおよびコーディネイトしていただいたシロナ社の方々真にありがとうございました。
 そして通訳をしていただいた宮本先生、通訳の岩上さん、オーラルケアの大竹社長、大変お世話になりました。
研修ツアーに参加された諸先生方、初参加の私にいろいろ友好的に接していただき、さまざまな臨床の相談、ないしは、お互いのこれからの方向性やその他さまざまなことを同じ大きな目的を持つものとして、いろいろお話できたことは、とても有意義なものでした。
ベルリン大学とケルン大学のCBCTを応用したインプラントおよびperioの講習でしたが、私にとって日常の臨床においてとても参考になり日常の臨床に即したものでありました。質問したいことは山ほどありましたが、少し気後れしてしまい後悔しております。
より安全なそして審美を考慮した埋入やリスクを回避する意味でもCBCTは今後必要になると思いますが、まず資金を稼がないとなりません。。。。頑張ります?
また、KU64歯科クリニックは、オーラルフィジシャンの方向性とは少し違いますが、マーケッティングやコマーシャリング等は経営的に参考になりました。インプラントのOPEに関しては、とても近いものがあり同じ開業医として負けないように精進しようと思いました。OPE方法は日本よりとてもAggressiveでありました。
また、International Dental showは歯科企業の最先端の機材の触れることができました、無理に器具や消耗品を購入してきてしましました。
最終講演のProf,Elmer Reichの講演はドイツにおける予防の現状を講演していただきました。皆さん多数の質問があり時間が足りないほどでした。
この講習ツアーを通して、夜は比較的自分の時間が在りいろいろ考えるじかんがあったので、当医院の自己評価と将来の展望、漠然とした疑問、課題について少し述べてみたいと思います。

1. 当院においては、かなり、口腔内写真、検査、X線、唾液検査、メインテナンスがルーティン化してきたことは評価できますが、まだデータの収集が不十分で医院としてのデータが不備。今後の課題である。
2. メインテナンスに長年通院していただいている患者さんが老後健康を維持できないことも考慮にいれ、もう少し口腔ケア(口腔リハビリ、居宅療養管理指導、訪問診療)を充実させるスピードを速める。ターミナルまでメインテナンスをするのが我々の務めではないのか?当院は訪問診療および、院内にて3人ケアマネの資格を取り口腔ケアを進めているが、そのスピードが遅いのではないか?それことゆりかごから墓場までのメインテナンスを進めていきたいが
3. 我々が目標とする日吉歯科の縮小版を目指しているのではなく、オーラルフィジシャンの概念を根底に持ち医院が特異性をもっと持つべきなのか?日吉歯科のように各方面のスペシャリストをそろえる母体の大きさが無いときは、何か得意分野をつくるべきではないのか。
4. CBCTのような高額な医療器具を購入でできない歯科医院は今後、淘汰されてしまうのか?もしそうであれば我々今からどういう戦略を立てるべきなのか?積極的な経営とは?
5. オーラルフィジシャンとして地域に早急に何をするべきなのか
そして、最後に一週間留守にして、私がいなくても十分運営できる我が医院のスタッフを大変誇りに思い、そして感謝しこのレポートを締めくくりたいと思います

ドイツ研修を終えて

古賀勝博

いままで何度かヨーロッパに行ったことはありましたが、歯科を通して海外を見るのは今回が初めてでした。世界のトレンドや最新の技術や情報(今回はCBCT)を見る事ができるのはもちろんですが、特に今回楽しみにしていたのは、ドイツの現状を見る事でした。ドイツの現状を見たかった理由は、8年前に読んだ「デンタルエクセレンス」にあります。日本の保険はドイツを学んで作られた物である事も知っていましたし、デンタルエクセレンスに書いてあったドイツの現状が今、どのように変化しているのかをこの目で確かめたかったのです。
 世界のトレンドはIDSで見る事ができました。IDSでは、人やブースがとても多く、日本のデンタルショーとは反対でとても盛況でした。日本では技工士さんのなり手がかなり少なくなっている中で、技工士さんのブースが盛況だったのは、私にはすごく異質に感じられました。またCBCTについても、詳しく開発研究者に聞くこができ、CBCTの原理とその臨床応用、使用にあたっての問題点、そして未来の展望について、OPとして今後必要となる内容であったと実感しています。
 そして、今回特に見たかったドイツの現状は、KU64の見学と、Prof.Dr.Reichの講義で知ることができました。KU64で感じた事は、巨大な資本を持った歯科医院のグループ化が進み、経営が医療としてではなく、医業に特化して「効率重視で、少ないパイをいかに引きつけるか?」という事に強く動いている感じがしました。しかしこの点は、日本でもすでに起こってきている現状なので、さほど驚きはなかったのですが、他国(ロシア等)の患者を取り入れている事はいささかいきすぎではないかと感じました。なぜなら、KU64の分院長の好意で見せて頂いた友人のDrのパノラマ像には、欠損や補綴が多数入っており、「もっとやることがあるだろう!?」とOPの皆さんは感じたに違いないと思います。ドイツにも、VWやBMW、BOSCH等世界的な会社があるにもかかわらず、口腔内のグローバル化はいまだ遠いと感じました。IHCFの創立メンバーのProf.Dr.Reichの講義はIDSで多くを見たインプラント、CAD/CAMとは違い、これぞOPの目指すものという講義内容でした。人口の変化・ヨーロッパでの人の動き・ドイツ内における人の都市間の動き・他医院との連携・カリエスやPの年代による変化等を正確に把握して、地域の人々への健康に貢献している病院作りを行っていると感じました。
 今回のドイツ研修では、とても多くのもの学ぶことができ、研修中もそうでしたが、まだ自分の中ですべてを整理できずにいます。これから1年間、腰を据えて少しずつ今の仕事に反映させながら、オーラルフィジシャンの診療室に1歩ずつ確実に近づけていきたいと思います。
 最後に、これを企画して頂いた熊谷先生、及び様々な関係者の方達に心より感謝を申し上げます。どこでもついて行きますので、皆さんこれからもよろしくお願いします。

ドイツ研修を終えて

永森司

大変な旅の始まりとなった。成田開港以来、初めての事故により名古屋空港へバスで移動、離陸は夜中の2時であった。ベルリンでのホテル一泊はなくなり、ベルリン大学へ直行、時差ぼけのまま講義を受けることとなった。折しも、雪もちらつき不安な幕開けであった。
講義内容はDr.Christianによる3DコーンビームCT診断を活用したインプラント学で、シロナの歯科用CT「ガリレオス」が紹介された。インプラント用に開発されたとあって、三次元的解析によりインプラント手術の様々なリスクを回避できると納得させられた。被曝量も意外と少なく(パノラマの1.5〜3枚分)、アーチファクトも抑えられている。当院(丸の内歯科医院)ではインプラントを行なっていないが歯科用CTについて理解が深まった。スライドの中にコーンビームCTの7つのSというのがあり、smart、simpleなどと続き、最後のSは縦2本線が入り$(ドル)になるという落ちであった。ドイツも日本も何処もインプラントはドル箱かと感心?させられた。
ベルリン大学チャリテ・キャンパス内を案内してもらい、小児科病棟や世界有数の心臓病センターを見ることができたが、歯学部を見学できなかったのが残念だった。
午後には、キャンパスを離れ、先進的な歯科医院の見学ができた。KU64の本院と分院である。いずれもイエローやオレンジを大胆に使った未来的景観の院内である(日本では考えられない?)。分院の方はインプラントを中心とした口腔外科専門で、ガリレオスによるCT画像が臨床に生かされていた。
その後、空路ケルンに移動、翌日はケルン大学でケルン・ボン大学教授陣合同での講義を受けることができた。3Dコーンビーム技術の文献的考察やインプラント応用の実際の症例、今後ペリオへの利用などであった。学内見学として放射線科と口腔外科を回った。放射線科では最新のガリレオスを見、口腔外科では医科歯科のダブルライセンスを持つ顎顔面外科医の話を聞いた。
続く2日間は、世界最大のデンタルショー(IDS)会場に場所を移した。
約1800社が出展、10万人以上が来場するという驚くべき規模のデンタルショーである。今回お世話になったシロナのブースを中心に見て回ったが、とても1日2日で回りきれるものではない。ふらふらと目的もなく歩いているととんでもないものが目に入った。会場内でライブオペをやっているのである。あるインプラントメーカーのブースにオペ室が設営されていて中でサイナスリフトの手術が進行中であった。手元の術野はモニターに大きく映し出され、術者はドイツ語で解説しながらオペしている。終ったときには観衆は拍手である。まさにインプラントの実演販売だと思った。
もうひとつ驚いたことがある。夕方になると各ブースでビールが振る舞われるのだ。うれしい驚きだ。ビールもシャンペンも飲み放題!ドイツのお国柄だ。 本当にドイツのビールはうまい。各地々、店々の地ビールのうまさだ。ついでにソーセージももちろんうまい。パンだってライ麦パンをはじめとして無骨な見かけの割にうまい。
閑話休題。このままインプラントづくめで今回の旅は終るのか。いつものオーラルフィジシャンの海外研修とは趣が違うなと感じていた矢先、熊谷先生から大きなプレゼントが用意されていたのであった。最終日の午後、ケルンメッセ内のセミナー室でのDr.Reich講演である。氏は、カリオロジー、ペリオドントロジーの教授を歴任し現在は開業医として臨床にあたっている。現在のドイツ歯科界事情から自身の予防をベースとした診療所の話をして下さった。その診療姿勢はドイツのオーラルフィジシャンと言ってふさわしいものだった。患者の8割がメインテナンスに応じているというからたいしたものである。公的医療保険制度のあるドイツであるがメインテナンスは自費で行なっているとのこと。当院も現在メインテナンスを自費にしているのでとても参考になった。
過去に、アメリカ・ボストン大学、スウェーデン・マルメ大学と2度の海外研修を経験しているが、今回も最終的に思い出深い有意義な旅行となったと思う。熊谷先生にオーラルフィジシャンにとってのインプラントの意義を個人的に伺うことができたのも大きな収穫であった。また、訪れた各大学で太田先生、斉藤先生がオーラルフィジシャンの活動について逆プレゼンテーションされたのも今後の海外研修のあり方を示すものであったと感じた。
「海外研修の意義は、人づてでなく間接的でなく自分自身で生の一次情報に五感をもって接することにある」熊谷先生が今回の旅で語られたことが心に残った。

オーラルフィジシャンドイツ研修に参加して・・

篠塚嘉昭

オーラルフィジシャン研修は今回初めての参加でした。出発当日は空港でのアクシデントに逢い、行程が心配されましたが、全日程を無事終えることが出来ました。
私にとっての今回の研修の参加の目的は2つ。 1つは2年に一度のIDSを含む研修そのもの。1つは他のオーラルフィジシャンの先生方のと交流でした。


研修の一部でIDSの視察にも行きましたが、日本のデンタルショーとはスケールが違い、「凄い」の一言でした。
また、日本に帰り、IDSでの様子をメーカー、ディーラー等と話す機会があり、そんな時、やはり我々の歯科器機の情報発信元はIDSからなのかな?と感じ、そこに出展出来ることの凄さの様なものを改めて思いました。
前半の大学でのセミナーなどでは、その器機の開発に携わる臨床家の先生方の生の声を聞くことが出来るなど、貴重な経験をしました。
また、ドイツはスウェーデンの様に予防は確立されて無く、その意味では日本の歯科に近い部分もあるかも知れません。その原因は絶対的な歯科衛生士不足にもありますが、しかし我々オーラルフィジシャンの様に予防をベースにし、専門性を高めた診療を確立していく動きはあり、数箇所の施設見学もとても参考になりました。

熊谷先生はじめオーラルフィジシャンの先生方、同行させた業者の方々、大変お世話になりありがとうございました。